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組織を知る

大手ならではの金額規模を、ベンチャーのようなスピード感で。高速回転する開発事業を支えるビジネス戦略とは

  • #ビジネス戦略
  • #営業職
  • #社員インタビュー

都心で駅に近い立地への消費者のニーズが強まっていることに着目したオープンハウスは、「都心部の限られた土地における3階建て」というコンセプトで戸建住宅を提供しています。土地の形も大きさもさまざまで、家を建てるのが難しいと言われる都市型住宅の開発に集中することで、その規模を急速に拡大してきました。戸建関連事業において、用地仕入れという最上流から会社の利益を生み出す開発事業部の部長・大島健人さんに、オープンハウスの事業戦略と企業文化についてお聞きしました。

記事サマリー

  • ベンチャー企業にはできない規模と、大手にはできないスピード感
  • グループ間のシナジーが生む開発事業の高速サイクル
  • 仕事と人に誠実であることが、部下を評価する基準の一つ

この記事に登場する人

  • 部長

    大島 健人

    開発事業部 神奈川統括部長。中央大学商学部貿易学科を卒業後、2011年4月にオープンハウス入社。営業本部に配属後、1年目で新人賞を受賞し、2年目に係長に昇格、その後、旗艦店である渋谷営業センターのマネージャー、笹塚営業センターのセンター長を務め、人材開発部も経験。現在は、開発事業部の部長として神奈川エリアにおける用地仕入れの責任者を務める。

毎週135もの戸建商品を発表し、急成長する会社を引っ張っている

―オープンハウスにおける、開発事業部の事業内容を教えてください。

開発事業部は、オープンハウスの主軸である戸建住宅の用地仕入れを行う部署で、私は神奈川エリアを統括しています。2023年度9月期の開発事業部の売り上げが3000億円超えで、これはグループ全体の売り上げの1/3ほどを占めています。

私たちの業務範囲は、用地の仕入れに始まり、用地をどういった区割りにして、どういった建物を建てるのかという商品設計、そして価格設定を経て商品化し、販売チームに手渡すところまでを広く担います。

最大の魅力は、何と言っても、戸建関連事業の川上から川下まで携わることができることですね。用地をいくらで仕入れ、いくら売上が立ち、最終的に会社にいくらの利益をもたらせたのか。そういった数字を把握できるのも、ビジネスパーソンとしてのやりがいと醍醐味があります。

―そんな開発事業部の中で、大島さんが担っている役割はどのようなものなのでしょうか?

部長である私の役割は、一言で言えば、「その用地を買うか、買わないか。買うならいくらで買うのか」を全て判断し、決定を下すことです。オープンハウスの開発事業部では、入社初日の新人社員であっても、用地の仕入れについて決裁権を持つ私に直接プレゼンすることができます。他社と違って役員会の大掛かりな承認フローがないため、私の決裁さえ通せば、その場で用地購入を決めることができます。

ベンチャー企業ではできない数億~数十億円規模の用地を、大手企業ではできないスピード感でジャッジしていく、いいとこ取りな仕事です。

グループ全体の売上目標から逆算して、開発事業部が1週間に発表する首都圏の戸建商品の数は「135」。取得した用地をそれだけの数商品化するまでには、多くの行政的手続きや提携先との調整が必要となります。それらを踏まえて計画を立てながらスピード感を持って進行することが、私たちの腕の見せどころというわけです。

グループシナジーを総結集し、驚異の「事業期間6カ月」を達成

―オープンハウスの開発事業部のミッションと、他社と比べた強みを教えてください。

用地を仕入れてから、お客さまに商品をご購入いただき、代金を回収するまでの期間を「事業期間」といいます。この事業期間をいかに短くするかが最大のミッションです。一般的に、戸建て分譲における事業期間は10~12カ月と言われていますが、オープンハウスの開発事業部では平均6カ月を切っています。

つまり、他社が事業開始してから資金を回収するまでに1年弱かかるところを、私たちは半年で完結しているんです。年に2回も事業サイクルを回せるわけですから、この高速回転こそが私たちの大きな強みだと思いますね。

このビジネスモデルは、世の中の情勢が変わったときにも力を発揮します。他社が1年かけて在庫を一掃する前に、半年先んじて方針転換ができるからです。リスクヘッジも兼ね備えている体制だからこそ、オープンハウスが得意とする「攻めた仕入れ」も可能になっています。

―なぜそのような高速回転を実現できているのでしょうか?

このビジネスモデルを支えているのは、グループ全体のシナジーを活かした「選択と集中」型の組織体制です。不動産業界の営業担当は、用地仕入れからお客さまとの決済対応まで対応していくのが一般的ですが、オープンハウスでは、私たちが担う仕入れをはじめ、企画、建設、販売、引き渡しといった業務を分担しているため、それぞれが一点集中できるようになっています。グループ全体が一丸となって各職務に専念することで、事業期間6カ月というスピードを実現しています。

―開発事業部が誇るスピード感は、あらゆる要素が機能して生まれているのですね。

あとは先ほどお話ししたように、用地の購入について私に決裁権が委ねられていることも、事業期間を短縮できている主な理由の一つです。私たちのスピード感は、土地を早く売りたい地主さまや事業者さまに非常に好評です。

とはいえ、購入する際の判断軸や金額感は、単なる経験則や勢いだけで決めているわけではありません。

もともと販売仲介業からデベロッパー機能が派生して生まれたオープンハウスは、製販一体の企業です。仕入れ担当である私たちが、一般のお客さまと直接向き合う販売担当と、日々密にやりとりして最前線の情報を常にインプットできるからこそ、根拠を持ってスムーズに判断できるんです。
また、グループ内には、用地の区割りや、解体や造成のためのコストを当日中に割り出せる専門チームもあります。彼らのようなプロフェッショナルの存在も、圧倒的な事業スピードを実現する上では欠かせません。

定量的・定性的な成果を多面的に捉えて部下を育てていく

―大島さんが統括する神奈川エリアは、2022年にビルダーランキング1位を獲得しましたが、この結果をどのように捉えていますか?

実はオープンハウスが神奈川エリアに進出した2011年当時、製販一体のビジネスモデルが可能にした「好立地、好価格」「都心、限られた土地の3階建て」というコンセプトは、こだわりの強いお客さまが多い神奈川エリアにはフィットしないのではないか、という社内の意見がありました。

しかし、私のかつての上司が横浜営業センターのセンター長になったときに、その見立てを覆す実績を叩き出したんです。それから一気に潮目が変わり、現在のシェア1位という成果につながったのだと思いますね。この結果は、オープンハウスが提案してきたコンセプトが、お客さまの潜在的なニーズを堀り起こすものであること、そして東京以外の地域でも通用する、普遍的な価値を持つものだと証明してくれました。

そして今では、私も開発事業部部長兼神奈川エリア統括として50名の部下を束ねています。かつての上司は、決して自分の意見を部下に押し付けることはせず、部下のやる気を主体的に引き出すマネジメントをしてくれました。今は、自分もそんな上司でありたいと考えています。

―現在、大島さんはマネジメントの面で、具体的にどのようなことを意識されているのでしょう?

不動産業界でも尖ったコンセプトを持つオープンハウスに集ってきたメンバーですが、当然ながら、性格や働くモチベーションはそれぞれ違います。ですから、一人ひとりとコミュニケーションをとりながらよく観察して、個々に合わせた対応をするよう意識していますね。

上司として部下を評価するときは、定量的には営業活動に関するKPIで判断します。しかし、一面的な数字だけでなく、それが実際に利益を出せているか、少なくとも利益を出そうと努力しているか、など多面的に捉えるようにしていますね。そして定性的には、成長意欲があることは大前提で、考え方が「真っ当」であるかどうかを見ています。

―「真っ当」な考え方とは、具体的にどのようなものですか?

あえて言葉にするなら「仕事と人に対して誠実で、ごまかしがない姿勢」でしょうか。私もそうですが、オープンハウスでは、若くしてマネージャーに抜擢されることがあります。人間的にはまだまだ未熟なうちに部下を持ったとしても、考え方さえ真っ当であれば、道を大きく間違えることはないと思うんです。

それに立場上は上司でも、一人の人間としては対等です。厳しく接するときもありますが、親御さまから大切なお子さんを預かっているという気持ちで、ご家族の前でできないような指導は決してしないと決めています。

売上高1兆円は通過点。目指すは「総合不動産会社1位」 

―入社12年目になる大島さんから見て、オープンハウスの良い変化や進化はどのようなところにありますか?

会社が成長し、次なるステージに入ったと肌身で感じています。私が入社した10年以上前は、正直なところ労働時間が長く、休みもあまりとれない環境でした。しかし現在は、所定の労働時間を超えると自動的にPCの電源が切れるなど、働き方の仕組み自体が大きく変わっています。

そして会社の規模が大きくなったことで、新卒中途を問わず、ジョインするメンバーの属性も多様化してきました。例えば、女性社員の割合もこの10年ちょっとでだいぶ増えましたし、成績上位にランクインする人も増えています。そうした女性社員の活躍ぶりも、オープンハウス全体の空気にいい刺激となっている気がします。

―最後に、入社を考えている人に向けてメッセージをお願いします。

私は大学生時代、特に打ち込めるものがなく、成長意欲の高いオープンハウスの社風とは真逆のだらけた学生だったんです。しかし、「何もできない自分を変えたい」という思いは人一倍でした。だからこそ、あえて厳しいと聞いていたオープンハウスに入社し、社会人としてゼロから歩き出したことで、今では学生時代からは考えられないほどポジティブで強い人間に成長できました。

総合不動産会社としてさらなる高みを目指すオープンハウスにとって、「売上1兆円」は通過点に過ぎません。率直に言えば、「自分から何かしなくても、会社が自分を成長させてくれるだろう」という受け身のスタンスの人には向かない職場でもあります。むしろ「自分がオープンハウスを日本一に導く」という気概と情熱を持った人と、一緒に働けることを心待ちにしています!

「日本一」を目指す急成長企業には、社員の圧倒的熱量とロジカルな戦略がある

新卒入社して12年、現在34歳にして開発事業部長として活躍する大島さん。彼が語る仕事への価値観や事業部についての話からは、オープンハウスが驚異の成長率を実現する理由が伺えました。1兆円規模の会社に拡大した背景には、社員一人ひとりの熱量と共に、ロジカルな戦略に裏打ちされたグループ全体における仕組み作りがありました。