若手を育て、組織をより強化したい。戦略決定とリスク管理を担うコーポレート部門の未来像

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若旅 孝太郎氏

オープンハウスグループの根幹を支えるコーポレート部門において、全体の統括を行っているのが若旅孝太郎専務取締役です。IPOにまつわる業務やアメリカでの不動産事業に関わったのち、入社5年で執行役員企画部長に就任。以降、コーポレート部門のトップを務める若旅専務に、これまで歩んできたキャリアや仕事観、オープンハウスグループにおけるコーポレート部門のあり方、組織づくりなどについて伺いました。

専務取締役CFO/経営企画本部本部長
若旅 孝太郎Kotaro Wakatabi

大手銀行に新卒で入行後、日本に進出してまもないスターバックスジャパンへ転職し、IPOや業績拡大に貢献。2009年にオープンハウス入社、2015年より現在まで経営企画本部本部長を務めながら、2021年に専務取締役CFOに就任。

※役職は2024年7月時点のものになります。

伸びしろある刺激的な環境で、自分の成長を試したかった

はじめに、若旅専務のこれまでのキャリアについて教えてください。

私は新卒で大手の銀行に入行したのですが、これといってやりたいこととか、ビジョンがあったわけではないんです。大学時代に入っていた柔道部の先輩からの紹介で他社も受けずに決めてしまいました。

でも結果的に、銀行は2年で辞めて転職しました。覚悟も決まっていなかったですし、実力不足だったわけですが、あえてカッコつけて言えば「自分の人生のイメージがついてしまったから」です。銀行というのはトラディショナルな組織ですから、自分の学歴と実力だったら、20年後、30年後はこうなるだろうなという予想がついてしまう。実際にそういうモデルケースとなる先輩方が組織内にいますしね。もちろん、そういう人生も悪くないんでしょうけれど、私にとってはちょっと違った。仕事って、人生のなかで最も時間を使うことなので、すでに見えている幅のなかでやっていくのは嫌だな、と思ったんです。

当時は今のように転職サイトがポピュラーではありませんでしたから、新聞に出ていた中途採用広告を頼りに応募したりして。一応、人材紹介会社の走りのようなところにも登録してみましたが、紹介されるのは金融系ばかり。それでは銀行を辞める意味がありませんから、自分で気になる企業に連絡して面接を受けて、最終的にスターバックスジャパンへの転職を決めました。

スターバックスジャパンは今でこそ誰もが知る人気チェーンですが、当時はまだアメリカから日本に進出したばかりの小さな企業でした。店舗も、繁華街に行けばたまに見かけるかな、といった程度で、これから伸ばそうとしているサイズ感と勢いがおもしろそうだなと思いました。財務担当として入社したのですが、すぐにIPO(株式上場)準備を任され、そのあとはまったく整備されていなかったIR(対外的な情報提供など)周りや業績管理などを担当することになりました。

銀行に2年いただけの若造ですからまったく経験がなく、わからないことだらけのなかで、人に聞いたり調べたりしながら、がむしゃらに取り組みました。組織体制も整っていない状態でしたが、それでも店舗がものすごい勢いで増えて、会社が毎年2倍、3倍に成長していく、とにかく刺激的な職場でした。

そんなやりがいある環境を離れて、オープンハウスに入社したのにはどういった理由があったのでしょうか。

前職は、特に最初の数年はとにかく刺激的で、会社と一緒に自分も成長していける実感があったんです。上場後も事業計画などをほぼ1人で作って、事業部長や本部長クラスと対等にやり合っていました。でも、そうやって働いているうちに、人も増えて組織も整っていく。そうすると仕事は緩やかになっていきます。もちろん評価もされているし、そのままそこで落ち着いてもよかったのですが、当初感じていたような刺激や成長スピードが薄れていくなかで、ある種の危機感があったんです。まだ30歳前後でしたから、自分はもっとやれるんじゃないか、といったような。外資系と言えば聞こえはいいけど、結局は「日本支社」ですから海外進出もできない。これ以上の展望が見えないことへの物足りなさが転職のきっかけでした。

オープンハウスのことは、スターバックスジャパンの元上司から紹介されました。その人が以前、オープンハウスの上場コンサルティングを任されていた経緯があり、その縁で「すごく伸びている会社で、上場を予定しているけれど実務をやる人がいない」という話を聞きました。その当時、オープンハウスの管理部門は10人ほどしかおらず、IPO準備や事業計画策定、予算管理など、何でもやるという感じでした。「この先どうなるかわからないけれど、とにかく伸びしろがあって、成長に向けて裁量を与えてくれる」というところに大きな魅力を覚えたんです。

そのときは、オープンハウス以外の企業からも声がかかっていたのでしょうか。

そうですね。オープンハウスからはすでに内定が出ていましたが、比較検討していたのは急成長中の大手アパレルメーカーです。社長にも会わせていただきましたし、大企業ならではの待遇も期待できましたが、社長の周りにいる人達となんとなく肌が合わない気がして。一方のオープンハウスはまだ知名度もなかったし、不動産に携わったこともなかったけれど、こちらのほうがより自分の経験を生かせると思いました。それに、若い人が多いからこその活力や勢いも感じましたね。

失敗した経験もすべて、その後の成長の足掛かりとなる

オープンハウスに入社してからのキャリアについてお伺いします。入社後数年はどういった業務を任されていたのでしょうか。

2009年にオープンハウスに入社して、1年間はIPO準備をしていました。しかしそのときは、体制不足などから上場は叶いませんでした。じゃあどうするか、というときに社長の荒井が旗を振ってアメリカに進出することになり、いろいろあって私がアメリカでの不動産事業の立ち上げを任されて、2年間ロサンゼルスに赴任しました。

オープンハウスグループは現在もアメリカ不動産を扱う事業を手掛けていますが、当時はそれとは違って、現地で古い不動産を購入し、リフォームして現地の人に売るというシンプルなものでした。ちょうどリーマンショック後で不動産価格が下がっており、円高も手伝ってチャンスだと見込んだんです。しかし、私が行ったときにはすでにその手の市場は飽和していて、日本人が入り込めるようなものではなかった。10億円ほどの資本金を持っていったのですが、アメリカでは個人の資本家でもすぐに出せるくらいの金額で、結局あまりうまくはいきませんでした。

そして2年後に、再び上場を目指すために帰国。そのときは無事に上場することができ、それを評価されたこともあって執行役員に就きました。IPOと並行して経営企画部門の責任者として業績管理を担い、さらに上場したあとは投資家向けのIR・M&Aなどに携わってきました。その間に会社の規模もかなり成長し、法務や総務などの管理本部を含めるとコーポレート部門も100人くらいになっていましたから、そのときの部長クラスとともに仕組みづくりから運用まで進めてきたんです。

それだけの急成長を実現してきたオープンハウスグループだからこそ、味わうことができたというような経験も多かったのではないでしょうか。

会社のステージがどんどん変わっていくなかで、やれることが変わっていくのが印象深かったですね。売上100億円のときと1000億円のときでは事業に使える金額も、社内環境も、外からの見られ方も違います。いくらよい物件があっても、それを買えるだけの資本力がなければどうにもならない業界ですから、やはり規模のメリットが物を言います。会社の成長とともに事業の幅が広がり、扱える不動産の種類が増えていくことで、事業としてはもちろん、管理する立場としてもやりがいがあり、おもしろい経験をさせてもらえていると感じます。

また、オープンハウスグループの強みといえるのは、失敗を恐れず、たとえ失敗しても挽回するチャンスがあるということ。一度上場に失敗したけれど、会社の規模が拡大してから改めて上場したことでより大きな資金集めができましたし、成果が出なかったアメリカでの経験も、その後のウェルスマネジメント事業(日本国内の投資家に向けてアメリカの不動産を販売する事業)を立ち上げる足掛かりとなりました。失敗もその後のプラスになる、たとえうまくいかなくても、経験を積んでいけばそれを生かせる環境があるというのは、オープンハウスグループの成長の肝かもしれません。

業界日本一になるために、グループ全体の成長を支える重要な部門

若旅専務が統括されているコーポレート部門の役割とミッションを教えてください。

コーポレート部門は、主に資金調達やM&A・IRを担う経営企画本部、グループ全体の業績を管理する経営管理本部、人事・総務・法務などの組織管理を担う管理本部から成ります。私は経営企画本部の本部長を務めながら、部門全体の統括を行っています。

オープンハウスグループはM&Aなどを積極的に行い、持株会社化してグループ経営をするようになってきています。そのため、もともとのオープンハウスとは違う経歴を持った会社を含めたグループ全体の業績管理をしていく必要があります。グループが大きくなるに伴って、まずは経営管理本部が各社の業績管理を行い、経営企画本部がM&Aや資金調達といった攻めの役割、そして管理本部が法務やリスク管理を含めた守りの役割を担っていくという位置づけです。

オープンハウスグループは「業界日本一」を掲げていますから、それに向けて何をしていくかが目指すべきものの1つです。そしてもう1つ、私がよく口にするのは「自分がいるオフィスだけではなく、地方支社やアメリカ事業、オープンハウスと名前がつかないグループ内の会社についてもどう伸ばしていくかを考えて仕事をする」ということです。

一般的に管理部門は、本社オフィスに常駐し、本社の恵まれた環境しか知らない場合も多いと思います。ですが私は、グループ会社や地方支社に出ていくことを推奨しているんです。現地でしかわからないことは多いですし、本社ほど設備や人材が揃わない小規模の会社ではおのずと自分が2役、3役をやらなければならず、仕事の幅は必ず広がります。本社で同じ人が同じ仕事をしていれば安定はしますが、安定してしまうと大きな成長はしにくい。私は組織が安定したら、あえてメンバーを変えたりして不安定を作るようにしています。そうすれば残った人は頑張るし、それが成長につながり、誰か1人が抜けても困らない組織になっていくんです。

コーポレート部門が今後目指していく組織像とはどんなものでしょうか。

現在のコーポレート部門は、中途採用の社員がメインの戦力になってくれています。ある程度の専門性を持った人材でなければ、会社の急成長に追いついていけなかったからです。

そして今、オープンハウスグループは売上1兆円を達成し、さらなるステージに挑もうとしています。これまではベンチャーとして許されていた部分もありましたが、もうその言い訳はできません。当部門もそれに対応していく必要に迫られるなかで、これからは中途採用の社員を中心に、新卒社員を育てながら組織を強化していきたい。ゆくゆくは新卒社員の割合を5割まで引き上げたいと考えています。オープンハウスグループは、主に営業部門で新卒社員を現場で育て、成長させていく手法をとっていますが、それをコーポレート部門でも実践していこうと。若いうちから部門の内外を経験させて成長を促していくことで、組織自体も強くなっていくのではないかと考えています。

急成長を支えているのは、リスク管理と小さな成功の積み重ね

コーポレート部門にはどのような人が向いていると思いますか。

やはりやる気があり、成長志向が強いというのは部門に限らずオープンハウスグループの採用の前提だと思います。「やる気があります!頑張ります!」と口ではいくらでも言えるので、本当に頑張って自分を高めたい、何かを成し遂げたいという貪欲さがある人がいいですね。

ただし、そういうやる気みたいなものはなかなか目に見えにくいものです。中途採用の社員であれば実績やスキルを評価できますが、新卒社員を評価するのは難しい。だからこそ私は、やる気を目に見える形で示したいという新卒社員に資格取得を勧めています。本当に仕事ができるようになりたい、知識を得たいと思えば、勉強しますよね。若いうちにそういう面で証明していくことで、評価も受けやすくなります。

あとは、悪いほうの想像をして準備ができる人。「ポジティブで明るく楽しく前向きに!」という人ももちろん魅力的ですが、コーポレート部門には、同時にネガティブなことも考えられる人が向いているかもしれません。私は、この仕事は会社が間違いをおかさないためにどういう準備をしなければいけないかの繰り返しだと思っています。管理を担うということは、リスクに備えるということでもありますから、できる限りの準備をしておく。「その準備はもしかしたら無駄になるかもしれないけれど、必要なかったならよかった」というサイクルを繰り返していくことが大事なんです。

世間からはリスクを恐れずガンガンやっていくようなイメージを持たれているオープンハウスグループですが、実はその成長の裏側にあるのはリスク管理なんですよ。そもそも社長の荒井がとても慎重な人なので、どうしたらリスク回避できるかを常に考えている。大成功を収めてきたというよりは、リスクを見極めながら小さな成功を着実に積み上げてきた会社なんです。だからこそ、オープンハウスグループのコーポレート部門は非常に重要な役割を担っているといえますね。

最後に学生や求職者に向けてメッセージをお願いします。

オープンハウスグループはこの30年弱で類を見ないほど急成長し、今なお拡大しようとしています。すでにこれだけの規模になっているけれど、それでも不動産業界という巨大なマーケットのなかでのシェアはわずかなものです。成長できる伸びしろはまだまだあるし、機会もあるので、その成長を一緒に実現したいという人にぜひ来てほしいと思います。

新卒の人はもちろん、中途の人も同じです。今どこかで働いていて、会社や待遇に対して不満がある人もいるでしょう。オープンハウスグループは、たとえ成果が見えにくい部門であっても正当に評価される会社ですから、フェアな会社で頑張りたいという人にはとてもよい環境だと思います。人一倍の頑張りを求められる会社ですが、一緒に頑張りたい、成長したいという人は経験を問わず、飛び込んでみてほしいですね。