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組織を知る

オープンハウス独自の営業支援ツール「AetA(アエタ)」開発の裏側に迫る(前編)

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ソリューション事業部と情報システム部が共同で開発したオープンハウス独自の営業支援ツール「AetA(アエタ)」。マップ上から営業先の不動産業者の情報を確認できるだけでなく、名刺情報や行動履歴などを一元管理できるこのツールは、今やオープンハウスの営業担当者にとってなくてはならない存在となっています。AetA開発の立役者であるソリューション事業部の奥井雄貴さんと、かつて奥井さんの下で働き、現在は情報システム部に所属する多田莞司さんにAetA開発のきっかけやツールの特長についてお聞きしました。

記事サマリー

  • 営業に必要なさまざまな情報を一元管理できる「AetA」
  • オープンハウス独自の営業スタイルに最適化したツール
  • ソリューション事業部と情報システム部の密な連携で開発に成功

この記事に登場する人

  • 部長代理

    奥井 雄貴

    2014年入社。ソリューション事業部部長代理。米国留学中にMBA取得、議員秘書として働くなどさまざまな経験を経てオープンハウスに入社。AetA開発の発起人。

  • 係長

    多田 莞司

    2018年入社。情報システム部所属。ソリューション事業部で営業や事業企画を経験した後、2023年から情報システム部に異動。ソリューション事業部時代、奥井さん直属の部下としてAetA開発に携わる。

営業が苦手な人でも結果を出せるツールを作りたかった

ーまずは、お2人の所属部署と業務内容について教えてください。

多田:私は2022年末までソリューション事業部に所属し、奥井さんの下で働いていました。今年から情報システム部に異動し、契約管理や予実管理といった部署全体の運営業務に携わっています。

情報システム部では、オープンハウスが使っているさまざまなシステムに対して「このシステムはこのチームが担当」という風に、各システムに特化した専門部隊が割り当てられています。そのように個別最適化された体制ではあるのですが、これまで事業部全体の動きを見るような立場の人がいませんでした。

安定的にシステムを現場に供給し続けるためにも、全体を管理する人間がやはり必要だろうということで、情報システム部全体の方針決めや予算管理、ルール整備などを行うのが私のミッションです。

奥井:私が所属するソリューション事業部では、レジデンスマンションやアパート、テナントビルなど、一棟ものの収益不動産をリフォームするなどして付加価値を与えて商品化し、お客さまに販売。引き渡した後のフォローまで行っています。私はそうしたソリューション事業部の業務全体を統括する責任者的なポジションを担っています。

多田さんがソリューション事業部にいた頃は上司と部下の関係で、「多田ちゃん、多田ちゃん」と呼んでよく頼りにしていました(笑)。多田さんが情報システム部に異動してからは直属の上司・部下の関係ではなくなりましたが、システムに関わる部分で何かあればすぐに相談を持ちかけるなど、今でも非常に頼りにしています。

ー多田さんがまだソリューション事業部にいた頃、お2人で営業支援ツール「AetA」の開発プロジェクトを立ち上げられたと聞いています。「AetA」のツールとしての概要や、開発のきっかけについて教えてください。

奥井:「AetA(アエタ)」は名刺管理を起点に、クライアント情報や案件情報、行動履歴の記録といったオープンハウスの営業に必要なさまざまな情報を一つのツール上で一元管理できる統合管理システムです。

すごくやる気はあるけど、結果がなかなかついてこない。そんな営業担当者でもしっかり結果を残せるようなツールを作りたいと思ったのが、そもそもの「AetA」開発のきっかけでした。

私も多田さんも営業の経験はあるのですが、実は2人ともどちらかというと営業としてのセンスがある方ではなくて(笑)。でも、営業がたとえ得意でなくても、何よりまずやる気があることがうちの会社では重要です。我々のように営業が苦手な人でも、やる気さえあればしっかり結果を出せて、組織に報いることができる。そんなツールがあればいいな、と思って開発に着手しました。

多田:営業担当者の業務効率化を図ることも、AetA開発の大きな目的でした。オープンハウスの営業スタイルの特徴として、飛び込み型の営業がメインというのがありますが、その際にネックになっていたのが、営業先となる不動産業者を探す時間でした。

AetAはマップを開くと、近くにある不動産業者が全て表示され、会社情報やこれまでの取引情報などが一覧できるので、営業先の業者がどこにあるのか、その業者がどのような会社で、オープンハウスとどのような関係性にあるのか、即座に把握できる。無駄な時間を短縮できれば、これまでより一件でも多くの営業先を回れるようにもなります。

奥井:案件の第一歩は相手に会って名刺をいただくことなので、ネーミングも「人に会えた」ことを大切にしようという意味で、AetAと名付けました。「et」というのは、フランスで「&」を意味する単語で、Aという文字はよく見ると人の形にも似ています。そのような「人と人を結ぶツール」といった意味も込められています。

オープンハウス独自の営業スタイルに最適化

ーAetAのツールとしての強み・特長はどんなところにあるのでしょうか?

多田:例えば、近くにある営業先をマップ上で確認できる機能、営業情報を管理する機能、名刺管理機能など、それぞれの機能に個別特化したツールは世の中にいろいろあると思います。しかし、それらの機能を統合して一元管理できるツールはなかなかありません。そうしたさまざまな機能を一元化したところに、AetAの強みがあると思います。

奥井:AetA導入以前は、オープンハウスでもそれぞれの機能に特化したツールを個別で使っていましたが、ツール同士が連携していないので、営業担当者が情報を入力したり、探したりする際に、2度手間、3度手間になってしまうようなことが多々ありました。

私が営業を行なっていた時も「無駄が多いな」と常々思っていましたし、こうした時間のロスは営業機会の損失にもつながってしまうので、手元にある情報を全部つなげられるようなツールがあれば便利だなと。

多田:もう一つの強みとして、オープンハウス独自の営業スタイルに最適化されたツールであることが挙げられます。他の不動産会社の営業スタイルは、クライアントリストがあって、営業担当者がそれぞれ担当を割り振られて、アポイントを取って会いに行くという動き方が一般的だと思います。そのような営業スタイルの場合、さまざまな情報を個別ツールで管理していても、そう大きな問題はないのかもしれません。

しかし当社では、目当ての業者にゼロベースで手当たり次第に飛び込み、そこで名刺を交換して案件につなげていくという営業スタイルです。そうした営業スタイルの場合、全てのデータが密に連携していないと、動きが取りづらいのです。通常の不動産会社とは異なるイレギュラーな営業スタイルをとっているので、我が社に最適な既存ツールがなかなか見つからず、内製で開発したという事情もあります。

加えて開発当初から、AetAに蓄積されたデータを分析することで、他の営業担当者の「道標」になるようなツールにすることも意識していました。「できる営業担当者がどのような動き方をしているのか?」をデータを通して可視化することで、営業ノウハウの共有や育成にも役立てられるツールにしていきたいな、と。

大規模なシステムでも内製できることが大きな強み

ーAetAのプロジェクトが立ち上がったのはいつ頃だったのでしょうか?

多田:プロジェクトの立ち上げは2020年5月で、リリースしたのは1年後の2021年5月でした。まずは奥井さんから伺ったコンセプトをもとに、私の方で1ヶ月くらいかけて要件定義を行いました。

奥井:プロジェクトの発起人や名付け親は私ですが、実際に手を動かす作業は本当に多田さんが頑張ってくれて。「こういうツールが作りたいんだよね」とふわっとした丸投げになってしまったのですが、本当によく形にしてくれたな、と思います。

多田:こうしたプロジェクトはまず0から何かを考えることがとても重要なので。奥井さんは0から1を考え、私がそれを1から10に膨らませる。大体いつも、そんな役割分担ですね(笑)。

大枠の要件定義を私の方で行った後は、それを情報システム部に持っていって「これを形にするにはいくらかかりますか?」と相談しました。見積もりとして、数千万円規模の金額がかかることが判明したのですが、それを奥井さんに伝えたら、1〜2週間ほどで正式にGOが出て。私のような当時まだ新卒3年目の社員に、数千万円単位のプロジェクトを任せてくれるんだなと、この会社の意思決定のスピード感と大胆さにはあらためて驚きましたね。

奥井:金額部分は全然ネックにはなりませんでしたね。それくらい価値があるツールだと確信していましたし、形にできれば製品として他社にも売れるくらいのツールになることは予想できたので。もしも会社から「コストを回収しろ」と言われても、一瞬でできるだろうなと思えるくらいの自信がありました。

多田:私はプログラミング言語やシステムについての専門知識はなかったので、具体的な設計書に落とし込む作業は情報システム部と連携して行いました。

要件定義が完了後、正式なGOが出てからは情報システム部やWebデザイナー、外注先のプログラマーと、毎週5時間以上のミーティングを2ヶ月ほど続けました。私としてはこの時期が一番大変だったかもしれません。「このボタンを押したら、どういう挙動をすべきか?」など、1挙動ずつつぶさに検証しましたね。0からツールを作ると、どうしても想定外の抜け漏れが発生しますし、それを検証せずにリリースしてしまうと「カレーを作るつもりが肉じゃがを作っていた」というように、思っていたものと違うものが出来上がってしまうこともあるので。設計書を綿密に作り込んだおかげか、その後の開発自体は数ヶ月で完了するなどスムーズに進みました。

ーAetAの開発にあたり、ソリューション事業部と情報システム部が密に連携されたとのことですが、普段から両事業部は距離が近いのでしょうか?

奥井:ソリューション事業部に限らず、さまざまな部署と情報システム部の距離は近いです。普段から社内チャットなどで「こういうことできない?」と情報システム部に投げると、すぐに返事が返ってきます。我々としては「とりあえずぶつけてみよう」と気軽なスタンスで面倒なお願い事をしてしまうときもあるのですが、「会社のためになるならやりましょう」と情報システム部の人たちもすごく前向きな打ち返しをくれるので、とてもやりやすいです。

多田:AetAのような大規模なツール開発を内製で行える点も、オープンハウスの大きな強みになっています。全てを外注した場合、もっとかっちりとした要件定義を行わなければならなかっただろうし、連携もここまで密には取れず、ツールのクオリティ面にも影響が出ていたかもしれません。内製できる環境があったからこそ、立ち上げから1年という短期間でリリースできましたし、リリース後のアップデートも柔軟かつスピーディーに行えています。現場サイドの人間としては、非常にありがたい環境だと思いますね。

かつての上司と部下として、互いに信頼関係を築きながら、情報システム部と部署の垣根を越えた密な連携を取って開発したAetA。AetAを導入した事で、実際に営業パフォーマンスも飛躍的に向上しているといいます。後編では、AetA開発にあたってこだわったポイントや導入後の効果、今後のシステム開発の展望についてお聞きします。

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