表彰制度がもたらすものは“自信”と
“次の挑戦”への原動力。
MVM3回受賞の
センター長が得た
「発信」手法とは

中途入社から異例のスピードでマネージャーに昇進し、全国約240チームの頂点に立つMVM(Most Valuable Manager)をクォーターで2回、通期で1回と、計3回受賞した経験を持つ前波和志さん。登戸営業センターのセンター長として1日4回の順位表共有という独自の「発信」手法を確立し、センターを全国トップに押し上げようとしている前波さんに、表彰制度がもたらす成長のサイクルと、組織最優先で挑むリーダーシップの真髄について伺いました。
(2025年9月に取材)
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記事サマリー
- 1日4回の順位表共有で実現する「発信」重視のマネジメント
- TikTok広告から始まった転職と「打席に立つ前から準備する」仕事観
- 全国240チーム中1位のMVMを3回受賞した成長の軌跡
この記事に登場する人

前波 和志
営業本部 登戸営業センター センター長(課長)。2022年9月中途入社。地場の不動産会社で5年間勤務後、オープンハウスグループに転職。入社半年でマネージャーに昇進し、川崎営業センターと溝の口営業センターでマネージャーを経験。2025年7月から登戸営業センターのセンター長に就任し、現在9人のメンバーを率いる。
目次
1日4回の順位表共有。可視化された「発信」でチームを変える
—営業本部での前波さんの現在の業務内容について教えてください。
登戸営業センターのセンター長として、現在2チーム体制で計9人のメンバーを率いています。神奈川内には現在43チームあり、その中で登戸営業センターの2チームは川崎市の多摩区を中心に、南武線や小田急線沿線の物件も含めて幅広く扱っています。
センター長の主な役割は、単に数字を達成することだけではなく、会社が目指す方向や上層部の考えをメンバーに伝えることも重要です。週2回の会議で得た上層部の話を店舗のメンバーに分かりやすく共有する必要があるのですが、それが簡単ではないと感じています。
具体的には、数字的な会社の営業目標だけでなく、今の市況やお客さまから見たオープンハウスグループの印象、育成方針や指標、株価の動向なども共有しています。また、社会からの見られ方を常に意識し、コンプライアンスや社員の立ち居振る舞いにも気を配る必要があります。例えば、街中での源泉営業でクレームをもらっては本末転倒ですし、店舗のGoogleマップの口コミ評価を高めることも重要な指標です。
このように経営層と現場をつなぎ、会社の方針や目標を現場の業務一つひとつに落とし込むことがセンター長の大きな役割です。この点が、センター長とマネージャーの大きな違いだと思います。
—事業部として現在掲げている目標と、その中での前波さんのミッションを教えてください。
営業事業部の目標は首都圏での今月(2025年9月)700棟の売り上げ達成です。これは過去最高だった月661.5棟を上回る数字で、首都圏の47店舗がそれぞれ15棟を達成すれば705棟になる計算です。登戸営業センターもこの15棟は必達として取り組んでいます。
目標達成に向けて取り組む中で、私がセンター長として特に重視しているのは「発信」です。オープンハウスグループは頑張っている人たちの集まりなので、「頑張れ」という声かけはそれほど必要ありません。重要なのは、組織の中で自分たちが今、どの位置にいるかを客観的に把握してもらうことです。
—具体的にはどのような発信を心がけているのでしょうか。
1日4回、営業開始直後、昼、夕方、営業終了時に契約数の順位表を共有しています。現在、登戸営業センターは全国で契約数1位の位置にいますが、「あと何棟契約すれば1位になれるのか」「今何位にいるのか」ということを俯瞰的かつ客観的に把握できないと、真の成長は難しいですし、トップ獲得も難しいと考えています。
実際、トップを取ることで初めて3カ月間の努力を振り返ることができるんです。表彰された時には余韻があり、「あの契約があったからこうなった」「あの時は本当に頑張った」と感慨深く振り返り、成長につなげることができます。しかし、受賞できない場合は、次のクォーターがすぐに始まり、意外と前クォーターのことはあまり残らないんですね。だからこそ、順位を意識した発信を大切にしています。

打席に立つ前から、仕事は始まっている
—前職は地場の不動産会社で営業をされていたと伺っていますが、どのようなお仕事をされていたのでしょうか。
前職では5年間、主に相続関連の土地の仕入れを担当していました。午前9時から午後10時まで電話をかけ続ける非常に厳しい環境でしたが、その分、困難な状況への対応力や粘り強さは身に付けることができたと思います。年収は1,000万円程度いただいていたものの、働き方がかなりハードで、家庭を持つ上でも将来への不安がありました。
転職を考えたのは、その会社の先行きが見えなくなったことがきっかけです。より安定した企業で、年収を維持しながらも、健全な働き方ができる環境を求めていました。
—オープンハウスグループに中途入社を決めた理由を教えてください。
実は、オープンハウスグループを知ったきっかけは、TikTokの広告だったんです。高校野球をテレビで観戦していた時、CM中にTikTokを開いたら広告が流れてきて、「ちょっとやってみようか」と思い応募しました。
面接では「本当に頑張ります」という熱意だけは強く伝えました。当時、同じ不動産業界出身者はあまり中途採用していなかったようですが、何とか採用していただけて。親や妻に合格を伝えるととても喜んでもらえて、頑張って良かったなと思いました。
—オープンハウスグループ入社後、どのような姿勢で仕事に取り組まれたのか教えてください。
仕事を覚える上で大事にしたのは、現場で飛び交っている言葉を人に聞かずに自分で調べることです。そして、次にその言葉が飛び交った時には、自分も会話に入れるようにする。「打席に立つ前から準備をしておく」ということを心がけています。
川崎営業センターのプレーヤー時代のことですが、源泉営業で配ったチラシの反響で「家を売りたい」というお問い合わせがありました。ちょうどマネージャーが動けない状況だったため、誰を行かせるか検討し、「このやり取りのこと知ってる?」と源泉営業中だった私に電話がかかってきたのです。普段からチャットでのやり取りを追っていたため、「あの家の話ですよね」と内容を把握しており、すぐに引き継いでお客さまの訪問に伺えたんです。そのまま契約につながり、そのお客さまには結果的に、家の売却だけでなく購入もしていただくことになりました。
このように、打席に立つ前から仕事は始まっているものです。「打席に立てない」という相談を受けることがあるのですが、たとえやったことがなくても、やろうという気持ちがあれば、その準備をするはずです。「やったことがないから、分かりません」と言う人は、準備をしていないから打席に立てていないのだと思います。

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「レシピのような手順」で再現する成功体験
—前波さんがこれまで3回表彰されたという、MVM(Most Valuable Manager)についてあらためて教えてください。どのような基準で選ばれるのでしょうか。
MVMは、全国約240チームの中で契約数と売り上げを元にした複合指標により、最も優秀とされたチームのマネージャー1人に贈られる賞です。この表彰は、3カ月ごとのクォーターで年4回行われ、9月末には通期の表彰も実施されます。
私は入社して1年半後の2024年4月から6月のクォーターで、初めてMVMを受賞しました。当時は川崎営業センターでマネージャーとして働いていたのですが、その時のセンター長から学んだのは、組織のために数字を作る姿勢です。
それは、川崎営業センターではすでに自店の目標は達成していた時のことです。本来であれば、成立寸前の契約を翌週に回しても問題はない状況でした。というのも、その契約をその週中にまとめるには無理があり、対応できる契約担当者も不足していたため、他店舗のセンター長に重要事項説明などを依頼する必要があったからです。しかし、事業部として「あと1棟必要」という状況であれば、自店の実績として扱えなくなることを承知の上で、契約実績を他店舗と0.5棟ずつに分けてでも契約をその週中に成立させる判断をしたのです。
自分のためではなく、組織のために数字を作る。そういう人が評価されることを見てきて学んだ結果の受賞でした。
—初めて受賞者として参加された表彰式について、印象に残ったことを教えてください。
正直、緊張してあまり覚えていません(笑)。営業本部の表彰は式の終盤に行われるので、それまで頭が真っ白でした。MVMの表彰では、チームメンバーも一緒に登壇します。当時のチームメンバー3人と一緒に壇上に立って、「後ろにいるみんなのおかげで勝ちました」と話しました。そして、社内で川崎エリアは比較的契約が取れやすい地域と言われることがあるため、「川崎エリアだからトップを取れたんだろうと思われないよう、もう一度取って、自分の実力で取ったと思っていただけるようにします」と宣言したことを覚えています。
—その表彰式での経験は、前波さんの仕事への取り組み方に影響を与えましたか。
大きく変わりました。それまでの人生ではトップを目指したことがなくて、この時は頑張っていたら結果的にトップが取れたという感覚でした。でも一度表彰されると、「この頑張りをもう一度やればトップが取れる」という手応えが生まれます。
一度表彰されたおかげで、「前回はこんな風だった」「今回はこんな感じの目標にして、そのために今週はこれをしよう、今日はこれをしよう」と、まるでレシピのように手順が頭の中に入ってきたんです。それからは、自信を持ってチームメンバーに方針や目標を発信できるようになりました。
—オープンハウスグループの表彰制度は、社員にとってどのような価値があると思いますか。
本当に「報われる瞬間」だと思います。大勢の前で「おめでとう」と言われた時の達成感は、壇上に立たないと分からないと思います。私は直近に行われた5回の表彰式のうち、受賞した営業センターのメンバーとしてを含めて4回壇上に立っていますが、1回だけ立てなかったクォーターは、本当に何も感じずに終わってしまいました。表彰式が明確な区切りとなって、次のクォーターを頑張る原動力になっているのは間違いありません。

登戸営業センター全国1位への挑戦。組織最優先で挑む新たなステージ
—2025年7月に登戸営業センターのセンター長に就任されましたが、センターをどのように成長させていきたいでしょうか。
これまで登戸営業センターは、あまりトップを意識する位置にはありませんでした。前クォーターで登戸営業センター全体の数字が27棟だったのに対し、私がマネージャーとして1チームで作った数字が28棟でしたから、正直「これは大変だ」と思いました。
しかし、一緒に仕事をする顔ぶれを見て「このメンバーだったら勝てる」と確信しました。ですから、私がセンター長に就任したクォーター初日から「私たちはトップ目指してるんだぞ」「登戸営業センターが引っ張っていくんだぞ、この会社組織を」という話をしています。8月の1週目で契約数が前クォーターの27棟を超えた時、メンバーの目の色が変わったのを感じました。そんなメンバーのおかげで、8月には月間トップを取ることができ、現在クォーターでも首位を走っています。このまま突き進んで、このメンバーで絶対に全国1位を取りたいですね。
—今後のオープンハウスグループにおける、前波さん個人の目標を教えてください。
正直、いつまでにこのポジションに行きたいというような、具体的な目標はありません。ただ、オープンハウスグループで最終面接を受けさせていただいた時から、「この人を雇って良かった」と思われたいということだけを考えています。
私はリーダータイプではなくて、上司に「契約を持ってきて」と言われたら「持ってきます!」という気質で、これまでは「上司の発信に応える成果を持っていきたい」という一心で働いてきました。ですが、これからは「部下から成果を持っていきたいと思われる上司」になることが目標です。
私がそう思えるようになったのは、オープンハウスグループには、どんな時でも部下に付き合ってくれる上司が多いからです。真剣に取り組むところを、誰かがしっかり見ていてくれています。そこが本当にやりがいとなって、私はここまで来ることができました。
—前波さんの目から見て、オープンハウスグループにマッチする人材とはどのような人でしょうか。
やっぱり「打てば響く人」だと思いますね。源泉営業ではお客さまに断られることは当たり前ですし、うまくいかないことの方が多いものですが、それでも「やってみよう」と思える人。悲観的なムードであっても「面白いですね!」と言えるような人とは一緒に働いていて楽しいですし、そういうメンバーが実際に契約を取ってきます。
私はMVMの受賞を重ねた今も、自分の能力ではなく、周りの人のおかげで数字ができていると思っています。それは、前職では本当に厳しい条件の物件しか扱ったことがなかったからです。オープンハウスグループでは良い物件を開発の方々が仕入れてくれているため、「これなら確実に買っていただける」という感覚があります。お客さまが「買ってもいい」と思ってくださるような物件を見つけてくる開発の方々が、自分よりはるかに大変だという意識があるんです。
ですから、自分が特別だからマネージャーでトップを取れたという気持ちは全くありません。私の成功体験を体系化して再現可能にすることで、登戸営業センターの契約数を伸ばし、このメンバーで絶対に1位を取りたいですね。

謙虚さと実績に裏打ちされた「発信」が生み出す好循環
「発信」を重視し、チーム全体を巻き込んで成果を生み出す前波さんのマネジメントスタイル。3回のMVM受賞という輝かしい実績に裏打ちされた手法は、決して特別なものではなく、謙虚にメンバーと向き合い、目標を可視化し、共に成長していく姿勢の積み重ねでした。登戸営業センターの全国制覇という新たな挑戦に向け、前波さんの「発信」は続いていきます。







