大手小売から不動産へ――
18年のキャリアを生かし、
郊外ロード
サイド開発で日本一を目指す挑戦

大手小売企業で18年のキャリアを積み、不動産部門の事業本部長を経て役員まで務めた三井太郎さんは2021年7月にオープンハウスグループへ転身を果たしました。2023年4月には自らの提案をきっかけに商業開発部を新設。郊外のロードサイド物件という未開拓領域で年間120億円の仕入れを目標に掲げています。異業界転職の決断から、長年の経験を活かした事業戦略、そして「日本一」を目指す組織での働きがいについてお聞きしました。
(2025年8月に取材)
記事サマリー
- オープンハウスグループきっての全国展開部署、郊外物件から全国区を拓く
- 小売業界18年の集大成からの転身、長期収入最大化と新領域挑戦が転職軸
- 前職から変えた部下へのアプローチ、厳しさより信頼、成果を生む関係づくりへ
- 徹底力を重んじ、温かく家族のような社風の中で、社員が挑戦し成長できる環境が広がる
この記事に登場する人
三井 太郎
ソリューション事業部 商業開発部 部長。大学卒業後、大手小売チェーンに入社。同社では、最終的に役員として不動産事業の責任者を務める。18年間勤務したのち、2021年にオープンハウスグループへ入社。2023年4月には、自身の経験を最大限に活かすため、商業開発部の新設を提案。同部署の部長として、郊外ロードサイド店舗物件の仕入れ販売を中心に活躍を続ける。
目次
オープンハウスグループきっての全国展開部署、2名で年間120億円の売上に挑む
―まず、三井さんが率いる商業開発部の事業内容について教えてください。
私が所属する「ソリューション事業部 商業開発部」は、2023年4月に新設された部署です。従来、オープンハウスグループは都心の駅近マンションやオフィスビルを強みとしてきましたが、私たちが担うのはその対極にある“郊外のロードサイド物件”。主に中古店舗を仕入れ、投資家の方々にご紹介・販売していく事業です。
この部署が誕生した背景には、実は私自身の提案がありました。入社時の面談で「駅近だけでなく、郊外の物件にも挑戦すべきでは?」と提案したことがきっかけで、会社としても新たな戦略の意義を認めていただき、新部署が立ち上がったのです。つまり私は、“郊外の不動産を率いるために入社した”と言っても過言ではありません。
現在の体制は私と補佐的な事務を担当する社員の2名のみ。けれど、ソリューション事業部の営業メンバーが全国から集めた物件情報の中から、郊外のロードサイド物件が私のもとに集約される仕組みを構築しました。電話、チャット、メール、口頭など、あらゆる手段で情報が入ってくるようになっています。その結果、オープンハウスグループが着目した郊外の物件売買のほぼ全てを、長年の経験から明確な評価基準を持つ私が判断をしています。
―オープンハウスグループにおける商業開発部の特徴はなんでしょう?
最大の特徴は、グループ内で唯一「全国規模」で事業を展開していることです。東京、名古屋、大阪、福岡、群馬といった拠点を中心に事業を展開する中で、私たちは北海道から九州まで全国をフィールドにしています。
背景にあるのは、地方では駅前よりも郊外のロードサイドに活気が集まっているという現実です。優良な立地の物件は数多く存在し、収益化の可能性も非常に大きい。私は「オープンハウスグループを全国区の企業にする」という使命感を持っていますが、その実現に向けて、この全国展開は欠かせないのです。
部署の目標は、月間で10億円の仕入れ、四半期で30億円、年間で120億円。特に東北や四国など、まだ当社が一度も購入したことのないエリアへの挑戦に注力しています。私の目標は明快です。――「オープンハウスグループが日本一を目指すうえで、商業開発部の郊外不動産も日本一にする」。もともと“日本一を本気で目指す会社”でなければ、私自身ここには入社していませんから。

小売業界18年の集大成から、不動産業界への転身
―前職での経験について詳しく教えてください。
小売大手に18年。テナント事業本部長を経て、役員として全社の不動産を統括していました。テナント誘致や施設運営、契約・建物管理まで店舗不動産を一気通貫で担当。新規出店では土地の売買・賃借、建物取得など開発にも深く関与しました。キャリア後半は東南アジアや米国、グアム、ハワイなど海外案件も多数。ただ、私の強みはやはり郊外。都心は売場優先でテナント余地が少ないため、郊外案件で鍛えられた実戦経験が今の仕事に直結しています。
―役員まで務められていた中で、なぜ転職を決断されたのですか?
きっかけは、オープンハウスグループで執行役を務める方で、前職時代の同僚からの紹介でした。「面白い社長がいるから、一度話を聞いてみませんか」というお誘いを受けて社長との面談の機会を得てから、転職へと思いが一気に傾いていきました。
率直に申し上げると、長期的な収入の最大化が決定打になりました。前職では、まだまだキャリアアップの余地もありましたし、会社には不満もありませんでした。しかし、業界内では高くても小売業界の給与水準は、不動産と比べると上限があったのは確かです。
加えて重要だったのは、これまで培ってきた経験を活かしながら、新たに不動産売買という領域にチャレンジできる点でした。さらに、その後のソリューション事業部長との面談では、私の前職でのキャリアを、とても尊重してくださっていることを感じたのも追い風になりました。
―入社して、オープンハウスグループと前職の企業文化の違いで印象的だったことはありますか?
むしろ、根底にある「ものの考え方」は似ています。特に両社に共通するのは、数字や結果に対する強いこだわりです。売上利益を追求し続ける姿勢において、オープンハウスグループの社長の考え方も腑に落ちました。前職も35年連続で増収増益を続けており、常に前年を超えていく姿勢は、オープンハウスグループと非常に似ています。
一方で大きく異なるのは、仕事のプロセス管理手法です。前職は結果重視で過程を問わない文化でしたが、オープンハウスグループはプロセスを徹底的に管理します。朝礼での発声やスローガンの唱和など、前職にはない文化でした。
私はもともと柔軟な性格で、数字を上げるために必要だと思うことに関しては、たとえ企業文化が違ったとしても納得感があって受け入れられます。中には戸惑う中途社員もいるかもしれませんが、これだけの数字の結果を出している会社が取り組むことには、たくさん意味があるもの。その理由を深く考えてみるといいかもしれません。

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前職から圧倒的に変えた部下へのアプローチ
―ロードサイド物件の仕入れにおいて、三井さんの強みを教えてください。
収益不動産の本質は「安く仕入れて高く売る」。ただ、郊外のロードサイドでは特に「立地を見極める力」がすべてです。私の最大の武器は、20年にわたり店舗開発に携わってきた経験から培った“立地眼”。飲食店、コンビニ、ドラッグストア――業態ごとにどんな立地で成功するか、そのパターンを現場で体得してきました。これは座学では決して身につかない、私の財産です。
―物件の詳細調査ではどのような手法を用いますか?
データ分析より人的ネットワークを重視しています。長年の店舗開発業務で構築した業界人脈によって、通常では入手困難な情報にもアクセスできることがもう一つの強みです。
たとえば、店舗の売買を検討する際は、人脈を通じて現場の状況を徹底的に調査します。「この店舗は本当に収益を上げているのか」「テナント退去リスクはどの程度か」といった生の情報を把握することで、投資家への説明時にも「好調な実績がある物件です」と確信を持って答えられます。そうすると当然、売却もスムーズに進みます。
この種の情報収集は、どうしても業界経験の浅い方には難しい領域です。ですから、オープンハウスグループ内で店舗に関わる若手社員にもよく意見を求められますが、積極的に知見を共有するようにしています。
―社内のメンバーとの関係構築で心がけていることはありますか?
最初にお話した通り、私の仕事はひとりでは何もできません。部のメンバーに郊外のロードサイド物件を集めてもらってはじめて、業務がスタートするからです。そのため、「偉そうにしないこと」を強く心がけています。
オープンハウスグループは20代の社員も多い職場です。年長者が怖い顔して座っていても、誰も話しかけてきません。ちなみに、私は前職では「怖い」と思われることがありました。しかし、ソリューション事業部でそのように評する人はおそらくいないでしょう。私の引き出しには常にお菓子がたくさん入っているのですが、若いメンバーが「お腹が減ったから、何かください」と言いにくるほどです(笑)。そういう意味で、部下へのコミュニケーションのあり方を前職から圧倒的に変えていますね。
―なぜそこまでスタイルを変えられたのでしょうか?
目的からの逆算です。もしより厳格なアプローチの方が結果につながるなら、そちらを選択するでしょう。しかし現実的には、若手メンバーにストレスを感じさせない関係性を築く方が、確実に私のもとに情報が集まります。みんなに好かれたいからというわけではなく、目的思考の結果です。

本気で「日本一」を目指す会社の魅力と成功の条件
―他社で役員も経験した三井さんだからこそ感じる、オープンハウスグループの企業文化の特徴を教えてください。
最も印象的なのは「徹底力」という企業文化です。たとえば、どんな小規模の会議でも必ずスローガンを唱和します。外からみると過剰に感じる方もいるかもしれませんが、これが強固な組織力の真髄だと実感しています。
さらに、会議では毎週必ず個人の数字を発表し、翌週の目標も設定します。この徹底した組織運営によって、社員が同じ方向を向きながら切磋琢磨することの威力は計り知れません。オープンハウスグループが業績を上げ続ける理由は、まさにこうした徹底力にあると考えています。
それから、社長を中心に「社員は家族」という考え方が浸透しているのを感じます。私のような中途入社者も、家族のように受け入れてくれました。数字や結果を重視するとはいえ、根本的なところに愛がある企業だと思います。
―この会社の魅力を教えてください。また、どのような人材がオープンハウスグループで成功すると考えますか?
最大の魅力は、本気で「日本一」を目指していることです。名目だけ「日本一」を掲げる企業も少なくありませんが、オープンハウスグループは真剣に取り組んでいます。その本気度によって会社が拡大するにつれ、部署やポジションも増え、中途入社でも十分なチャンスがあります。その環境で働けることは大きなやりがいです。
その上で、最も重要なのは柔軟性だと感じます。過去の経験や実績に固執する方は苦戦するかもしれません。私自身、前職では役員を務めていましたが、オープンハウスグループではまったく新たなスタートであると気持ちを切り替えています。
―今後の展望についてお聞かせください。
現在は、不動産売買のウエイトが大きいですが、将来的には前職の経験を生かして、オープンハウスグループでものを作る仕事にも取り組みたいです。土地取得、建物企画、テナント誘致、収益化、売却するまで一貫して手がける事業です。「不動産業界で日本一」を掲げるうえでは、オープンハウスグループを象徴するような大型商業施設の開発も夢ではないかもしれません。
ただあくまでも、私の働く動機は収入の最大化です。ただし、そのアプローチは柔軟に考えています。会社に与えられた役割を果たし、その対価として適正な評価を受ける。この明確な関係性こそが、持続的な成長につながると考えています。これからも会社から求められることを、まっすぐやり続けていきます。

異業界転職を成功に導く「経験」と「謙虚さ」の両立
前職での役員経験を経て、若手メンバーとの信頼関係を謙虚に築くことで、オープンハウスグループの郊外物件事業を牽引する三井さん。20年の店舗開発経験を武器に、「物件を集めるため」という明確な目的のもと徹底的に姿勢を変える柔軟性が、異業界でのキャリア構築を可能にしています。そしてそれを後押しするのが、結果に対してフェアに評価し、中途入社でも十分なチャンスを与えるオープンハウスグループの企業風土。「経験を活かしながら新たな領域で成長したい」という思いを抱えている人を、私たちはお待ちしています。