源泉営業はオープンハウスグループの企業文化そのもの。複数店舗を
トップに
導いたセンター長が語る
その本質とは

駅前や物件前で歩いている人に直接声をかけ、不動産への興味を引き出す「源泉営業」。オープンハウスグループにおいて、この手法は売り上げの大きな割合を占める重要な営業ツールです。極めて低いコストながら高い成果を生み出す源泉営業は、同社の企業文化として深く根付き、「日本一の不動産会社」を目指す原動力となっています。センター長として複数の店舗で全国トップの売り上げを達成してきた佐々木啓介さんに、源泉営業の本質と若手育成について伺いました。
(2025年8月に取材)
記事サマリー
- 内定者時代は契約ゼロでも、継続することで見えた「ゼロから1をつくる」営業の本質
- マニュアル化困難な営業手法だからこそ、個人の特性を活かせる成長環境
- 正当な評価システムと組織的サポートが支える、挑戦を歓迎する企業文化
この記事に登場する人
佐々木 啓介
営業本部 本八幡営業センター センター長(次長)。2012年に新卒入社後、渋谷営業センター勤務を経て、入社5年目でセンター長に就任。2024年1月に浦安営業センターで全国トップの売り上げを達成した他、錦糸町営業センターも全国トップに導いた実績を持つ。2025年より、千葉進出第1号店であり、自身の地元でもある本八幡営業センターを率いる。
目次
街との関係性を最も重視した営業センター運営
―営業本部での佐々木さんの現在の業務内容について教えてください。
本八幡営業センターで10人のメンバーと共に、源泉営業やWebマーケティングの反響(問い合わせ)を通じてお問い合わせをいただいたお客さまへの対応をしながら、不動産販売を行っています。店舗のトップであるセンター長として店舗運営を担い、源泉営業に関しては、場所選定から、チラシ作成、看板設置に至るまで、全体の戦略を策定します。
近年、特に重要視しているのがリスク管理です。源泉営業は街中で不特定多数の方に直接声をかける営業手法のため、地域の理解と協力が不可欠です。一度でも地域の方々との関係が悪化すれば、その場所での活動が困難になり、営業活動における大きなダメージとなります。そのため、街の皆さまに信頼していただけるよう、メンバーの言葉遣いや表情、声のかけ方に至るまで細かく指導しています。
―売上高1兆円超えを達成する急成長に伴い、気を付けるべき点も変化しているのでしょうか?
その通りです。私は新卒11期生になりますが、昔とは明らかに状況が違います。CMの放映も増え、オープンハウスグループをご存知の方が格段に多くなりました。社会的知名度が上がったからこそ、1つひとつの行動により注意を払う必要があります。Web上の口コミに書かれるリスクなども含め、現代に即したリスク管理が求められていると感じますね。
―源泉営業は全体売り上げに対してどの程度の貢献をしているのでしょうか?
タイミングにもよるものの非常に大きく、概ね4割程度を占めています。不調な時でも3割、好調な時には5割に達することもあり、私が複数の店舗で全国トップの売り上げを達成した際は、源泉営業は必ず4割以上を占めていました。このように源泉営業は若手営業パーソンの単なる修行ではありません。売り上げを作るための、必要不可欠なツールとして位置付けられているんです。
業界全体を見渡しても、源泉営業を本格的に展開している会社は少数です。最近では模倣する同業他社も現れていますが、私たちには絶対に勝てないと確信しています。なぜなら、これは単なる営業手法ではなく、私たちの企業文化として深く根付いているからです。オープンハウスグループにとって源泉営業とは、「日本一の不動産会社」になるために必須なものです。“人・もの・金”といった価値軸では、先行企業との競争は非常に激しくなっています。そうした中で、私たちが最も勝負できるのは、他でもない“情熱”です。その情熱が一番顕著に表れるのが、まさに源泉営業なのです。

5カ月間の挫折が教えた、営業の原点と顧客創造の意味
―そもそも源泉営業とは、具体的にどのような営業手法なのでしょうか?
駅前や物件前、ショッピングモールやスーパーでお借りしたスペースなどで、歩いている方に「物件にご興味はありませんか?」「近くで新築を販売しています。」などと直接お声がけする営業活動です。完全に能動的なアプローチであり、最大の特徴は相対的にコストがかからないことです。いわば「ゼロイチの営業」と呼べるもので、何もないところから数字を作り出していく手法です。
費用対効果の観点から見ると、その威力は圧倒的です。自社ホームページは1件数万円、不動産情報ポータルサイトはさらに高額な費用がかかりますが、源泉営業はほぼ人件費のみ。それで売り上げの4割を作り出す、極めて効率的な手法です。
―佐々木さんが若手社員だったころの源泉営業体験についてお聞かせください。
私が源泉営業を始めた当初は全く結果が出ませんでした。内定者研修期間中の契約数はゼロ。入社後の4月も契約を獲得できず、ようやく5月に初めての契約を達成しました。初契約の時のことは、今でも鮮明に覚えています。当時エリアで最も売らなければならなかった物件を、私なりに一生懸命説明したことで、お客さまにお買い上げいただけたのです。
実は内定者研修を含めて契約ゼロだった5カ月の間には、源泉営業について「これは効率的と言えるのだろうか」「むしろお客さまにとって迷惑なのではないか」とまで考えていました。しかし実際に契約が発生し、お客さまから感謝の言葉をいただいた時、深い手応えがありました。そこから恥ずかしさが払拭され、源泉営業に対する意識が根本的に変わったのです。
―長年の経験を経た今、源泉営業をどのように捉えていらっしゃいますか?
営業パーソンにとって、源泉営業とは真の意味での基礎づくりだと考えています。この経験は、その次のステップであるWebからの反響への対応など、あらゆる営業活動に通じる土台となります。オープンハウスグループで源泉営業を経験していない営業職はほぼ存在せず、部長クラスや役員であっても一度は必ず経験する、それほど重要な基礎体力づくりなのです。
営業トークの習得はもちろんですが、それ以上に重要なのは、街の特性や特徴を肌で感じ、そこを歩いている方々との会話を通じて、不動産営業の本質を学ぶことです。特にやりがいがあるのは、当初は家を探すつもりなど全くなかった方が、源泉営業での出会いをきっかけに購入を決断されるケースです。
また、最終的にお客さまからお声がけいただく際、長時間かけてご案内したマネージャーにではなく、クロージングで価格交渉を担当する私のようなセンター長でもなく、「最初に道で声をかけてくれた、あの営業の方のおかげです」と言っていただけることも少なくありません。これは管理者としての立場からすると、当の本人以上に嬉しく感じることもあります。

▼営業職へのエントリーはこちらから
データに基づく若手育成と、千葉エリアの戦略的優位性
―源泉営業が苦手な若手社員に対して、どのようなサポートを行っていますか?
結論から申し上げると、苦手意識を克服するための唯一の方法は、継続することに尽きます。ただし、それを支えるためには、環境に変化や刺激を与えることが重要です。具体的には、活動場所や手法に工夫を加えたり、経験豊富な先輩との同行機会を設けたり、成功している社員の近くに配置して学べる環境をつくったりといった施策を講じています。
源泉営業で求められる基本的なスキルは「声をかけること」で、特別な才能を必要とするものではありません。誰にでもできることだからこそ、継続が何より重要なのです。また、当社には組織として成功体験を積ませる仕組みが整っており、完全に契約を獲得できないという状況は起こりにくくなっています。
ただし、源泉営業に絶対的な正解は存在しません。人それぞれに異なるアプローチがあり、最終的なゴールは契約獲得という一点のみ。そこに至る道筋は、個人の特性に応じて無数に存在するのです。
こうした源泉営業の特徴や価値を若手に理解してもらうため、私は具体的なデータも活用しています。興味深いことに、物件をご購入いただいたお客さまのうち、約35%が物件から半径1km以内に、約55%が半径2km以内にお住まいなのです。この数字を伝えることで、物件の近隣で営業活動を行うことに明確な意味があることを理解してもらっています。
また、源泉営業には直接的な契約以外にもさまざまな波及効果があります。その場ではお客さまカードに記入されなかった方が、後日Web会員登録をされるケースも多いのです。さらに、源泉営業中の社員の様子を見ていた地域の方々が、親戚や知人にオープンハウスグループを紹介してくださることもあり、まさに「無料の広告塔」としての役割も果たしています。源泉営業では必ず名刺をお渡しするように指導していますが、名刺を渡されたお客さまが後日来店されて契約に至った場合、その契約は最初に名刺を渡した社員の数字として計上されるため、若手にとって大きなモチベーションとなっています。
―千葉エリアでの源泉営業には、どのような特徴がありますか?
本八幡営業センターは千葉エリア進出の第1号店舗として旗艦店の役割を担っており、人材輩出を重視しています。同エリアの大きな特徴は、源泉契約の比率が高いことです。インターネットでの情報収集よりも、対面でのコミュニケーションを重視される方が多く、源泉営業が特に効果的なエリアと言えます。
また、この営業センターが入ったビルの上階にはオープンハウス・ディベロップメントの開発事業部 本八幡事務所が入居しており、興味深いシナジーが生まれています。源泉営業で物件をご紹介したところ、「実は物件売却を検討しています」というケースが頻繁にあるのです。開発事業部が物件を買い取り、商品化した物件を私たち営業本部が販売するという好循環が確立されています。

正当な評価と無限の可能性が生む、かっこいい仕事環境
―佐々木さんが考える、オープンハウスグループの魅力とは何でしょうか?
この規模の企業でありながら、「日本一の不動産会社になる」という目標を明確に打ち出していることです。トップが先頭に立ってビジョンを示してくれることほど、現場で働く者にとって心強いことはありません。会社の将来性を心配したことは一度もなく、私たちは現場で自分のミッションに取り組むことだけに集中できる環境があります。
評価システムの公正性も大きな魅力です。学歴に関係なく、誰にでも平等にチャンスが与えられます。一度失敗したとしても、それで終わりではなく、必ず挽回の機会が用意されています。減点主義ではなく、やり直しが利く正当な競争環境が確立されているのです。
私自身、学生時代に胸を張れるような実績があったわけではありません。さまざまな同期や先輩、後輩がいる中で、自分は平凡な人間だと思っています。しかし、そんな平凡な人間でも比較的短期間でマネージャーや、センター長の経験を積ませていただきました。この会社でどこまで成長できるのか、それを試してみたいという気持ちで仕事を続けています。
―どのような人がオープンハウスグループにマッチすると思われますか?
何より「素直で愚直に頑張れる人」、そして「上を目指したいという強い意志を持つ人」、です。確かに人よりもきつい思いをする仕事であり、特に源泉営業は決して楽ではありません。しかし、その中で目標を達成できたとき、やりたいことが実現できたときの喜びは格別です。
―最後に、これから入社を希望する方へメッセージをお願いします。
私は「かっこいい大人になりたい」という、ごく単純な動機でこの会社に入りました。学校を出て社会人になると、家族と過ごす時間よりも同僚と過ごす時間の方が長くなります。ですから、人生を振り返った時に「面白い人生だった」と思えるかどうかは、仕事の充実度にかかっていると思います。人生で最も時間を割く仕事が充実していることの重要性を、ぜひ考えてみてください。
源泉営業については、本当に価値のある、重要な仕事であることをお伝えしたいです。私のような上位職は、正直なところ、それほど特別なことをしているわけではありません。来店されたお客さまに対して、これまでの経験をもとに、適切なご案内をしていくのが主な役割です。一方、源泉営業は違います。何もないところからお客さまとの接点を築き信頼関係を育てていく、まさにゼロから1を創造する、本当に尊い活動だと感じています。
不動産業界は巨大な市場です。その中で業界トップの座を目指し、情熱を持って挑戦し続けるこの集団が日本一になったとしたら、それは本当にかっこいいことだと思いませんか? 私が入社当時は絵空事に聞こえた目標も、今では誰も笑いません。オープンハウスグループの仕事は本当にかっこいい。そうした自覚と誇りを持って、売り上げの中核を占める源泉営業という尊い仕事に取り組んでいただきたいと思います。

源泉営業を通じて次世代を育てるセンター長としての使命
「源泉営業はゼロから1をつくる尊い仕事」と語る佐々木さん。その言葉には、営業の原点への深い敬意と、次世代を育て上げる強い使命感が込められています。コストをかけずに、売り上げの4割を支える源泉営業は、単なる営業手法を超えて、オープンハウスグループの企業文化そのものを体現する象徴的な存在なのです。