各社の「個別最適」から「全体最適」へ。新卒から経営管理のプロになった社員の成長譚

新卒入社し、仲介営業を担当していた中野さんが管理部門に異動したのは入社3年目のこと。経験ゼロから業績管理手法を学びながら、M&A業務などにも従事してきました。4年半にも及ぶグループ会社への出向を経て経営管理部に帰任し、事業管理グループのトップに就任した中野さんが挑むのは、グループ全体の業績管理です。中野さんが経てきた独自の経歴とそこから得られた視点のほか、日本一を目指す会社に必要な経営管理についても伺いました。
(2025年3月に取材)
記事サマリー
- グループを俯瞰した業績管理を行い、「全体最適」で日本一を目指す
- 営業畑から一転、管理部門へ。地道な努力で経営管理の感覚を身につける
- 出向先で得た実感と成果を元に、グループ全体での成長可能性を探る
この記事に登場する人
中野 真也
経営管理部 次長。2013年に新卒入社し、営業本部で不動産仲介営業を2年経験したのち、企画部(当時)へ異動。業績管理やM&A業務に従事する。2018年、新たにオープンハウスグループに加入した株式会社ホーク・ワンに経営企画部長として出向し、業績管理および事業計画策定などに関わる。2024年に経営管理本部に帰任、グループを横断した全社の戸建事業の管理業務とチームマネジメントを担当する。
目次
グループを俯瞰した業績管理で、成長のベクトルを合わせる
―中野さんの現在のご所属と担当業務を教えてください。
現在は、経営管理部 事業管理グループのグループ長を任されています。M&Aなどを経て拡大を続けているオープンハウスグループを包括的に管理し、一丸となって成長していくための体制を築くことをミッションとして、2024年7月に新設された部署です。
事業管理グループの主な業務は、グループ会社とのコミュニケーションや、新規にグループ入りした会社に対し、オープンハウスグループに合わせた水準での管理体制を構築するサポートをすることです。オープンハウス本社と各グループ会社間でのやりとりはもちろん、グループ会社同士での取引のスキーム構築なども進めています。また、グループ会社に出向しているメンバーも含め、日々の業務内容を確認してアドバイスすることも私の役目ですね。そのほか、経理部のグループ長も兼務しています。
―出向される社員の方もいらっしゃるんですね。
そうですね。現在、3人がグループ内のホーク・ワンおよびメルディアに出向していますし、私自身も約1年前までホーク・ワンに出向していました。新しく仲間になった企業の業績管理に参画しながら、グループ企業としての水準を維持するための事業戦略などを提案するのが出向社員の主な仕事です。
出向している状態だと、どうしても出向先の立場をより尊重したくなってしまうのが人情です。しかしそんななかでも、個別の企業がそれぞれの利益を目指す「個別最適」ではなく、オープンハウスグループとして最大のシナジーを得るための「全体最適」の視点を持たねばなりません。各企業のベクトルを合わせ、グループ全体の成長に寄与する経営判断をサポートするのが私たちの役割ですし、部下にもそういった視点でのアドバイスを行っています。
―経営管理部および事業管理グループが掲げる目標はなんですか。
経営管理部全体として「オープンハウスグループが日本一になることを目指す」ことを掲げています。経営管理部自体は数字を生み出す部署ではありませんが、第一線で売上を作る部署がより効率よく数字を積み上げられるようにスキームを構築したり、コストを抑えたりといった後方支援によって、日本一に向かうスピードを早めることが私たちの仕事だと考えています。そのため、あえて企業目標と同じところに目線を合わせるように意識しているんです。

出向先で表彰され、グループぐるみでの成果を実感
―中野さんがオープンハウスに入社した理由を教えてください。
大学時代は結構遊んでいたんです。ある程度名の知れた私立大学で、同じように遊んでいるように見える先輩も有名企業にバンバン内定が決まっていたので、当然自分もそうなるものだと思って疑わなかったんですよね。ところがいざ就職活動で、深く考えずに皆が憧れるような大手企業だけにエントリーしたら、見事にすべて不採用。「名だたる企業に入ってかっこいい社会人になる」くらいのビジョンしかなかったので、「この先の人生どうしよう」と途方に暮れていました。
そんなときに就活サイトからのメールでオープンハウスのことを知りました。「不動産営業で年収が高い」という情報を見て、「会社のネームバリューで勝てないなら、年収で勝
つしかない」と思って説明会に参加しました。他社にはない熱量の高さに強い興味を惹かれ、選考に進ませていただいたところ、採用担当の方をはじめ、お会いする社員さんが全員明るくて面白いし、プレゼンや話し方なども印象に残るものばかり。報酬が高いことはもちろんのこと、「この会社に入ったらいいことがありそうだ」と感じたのが入社の決め手ですね。
―最初は営業本部への配属だったと聞いています。
はい。入社後は中野営業センターに配属されましたがなかなかうまくいかず、毎日指導を受けていました。1年目はほとんど数字をあげられなくて、本当に怒られるために会社に行くような気持ちで(笑)。ただ辞めようとは一切思わず、積み重ねていけばできるようになると信じて、楽観的に取り組んでいました。
3年目に企画部(当時)に異動になりましたが、特に営業が嫌だったとか、他部署への異動を希望していたというわけではありません。会社の成長に伴い、業績管理の人手を増やす目的で数人に声をかけ、面談を経て私が呼ばれたという経緯です。もう少し営業を頑張りたい気持ちもあったのですが、せっかく取り立てていただいたのだからとにかくやろうと思いました。
―企画部ではどんな業務を担当されていたのでしょうか。
業績管理の仕事はまったくの未経験で、エクセルの使い方もわからない状態でしたから、まずは作業に慣れるところからのスタートでした。当初は既存の管理表に数字を入力するような単純作業の繰り返しでしたね。
そこからだんだん事業部の売上の仕組みが理解できてきて、各事業の業績予想なども肌感でわかるようになり、取締役会の資料作成なども任されるようになりました。ざっくり言えば、事業部における契約ベースの数字は未来の数字であり、それに対して経理で算出する数字は過去の実績数値です。両者を突き合わせ、経営会議に報告するといった作業ができるようになったのは約1年後。次第に予算作成、中期経営計画作成なども担当し始め、2〜3年後には実質的な責任者として動けるようになりました。
―その後、ホーク・ワンへ出向されるのですね。どんな経緯だったのでしょうか。
その頃はオープンハウスグループの売上高が5,000億円ほどで、そこからどんどん成長していくためにM&Aも視野に入れて検討しようとしていたフェーズでした。ホーク・ワンとの資本業務提携のやりとりにも携わり、グループ入りしてからも1年ほど、本社側から業績管理に参画していたんです。そうしたタイミングでホーク・ワン側で業績管理を担当していた方が退職されたため、私が出向することになりました。
出向が決まった当初は、漠然と怖かったですね。グループになったとはいえ、違う会社に行って社員の方々と目線を合わせて話ができるのか、不安もありました。オープンハウスは結果さえ出せば年齢はあまり関係ないという風潮がありますが、ホーク・ワンは比較的歴史のある会社なので、コーポレート部門のメンバーはベテラン社員が多い。一方、私は当時30歳前後でしたから、当然「若造が役職待遇で入ってくる」というネガティブな反応もありました。「オープンハウスは実力主義だから」と押し付けず、相手側の風土は尊重しつつ、でもオープンハウスグループとして求めるべき水準は妥協しないことを意識しながら取り組みました。
ホーク・ワンは戸建てデベロッパーなので、住宅を作って仲介業者さまに販売してもらうというシンプルな事業構造を持っています。シンプルだからこそ、優先的に取り組むべきだったのは「仕入れの目利き」、「効率的な販売経路」、「建築コストの効率化」といった明確な項目でした。私が特に注力していたのはオープンハウスとの協業体制の構築で、仲介を手がけるオープンハウスがホーク・ワンの物件をより多く扱うにはどうしたらよいかを、出向先だけでなくオープンハウス側とも連携しながら進めていきました。
―出向先で成果を出すのには、苦労もあったのではないでしょうか。
そうですね。最初、ホーク・ワン側には少なからずオープンハウスに対する拒否感みたいなものもあったと思います。当時、オープンハウスの仲介営業はオープンハウス・ディベロップメントの物件をメインに扱っていて、ホーク・ワンの物件を後回しにしているような印象を持たれていたんですね。しかし、せっかくグループ会社になったのだから、オープンハウスで取り扱う物件数を増やすためにできることをしようと働きかけ、直近ではホーク・ワンの物件の6割はオープンハウスで仲介している状況です。自分自身もやったことのない仕事だったので、確かに苦労はありましたが、オープンハウス側、ホーク・ワン側それぞれでたくさんの人に助けてもらい、成果につなげることができました。
ホーク・ワンには4年半在籍し、2024年に経営管理部に帰任しました。帰任直前、ホーク・ワンの表彰式で「ホーク・ワン特別賞」をいただいたんです。一緒にオープンハウスグループの成長に寄与できただけでなく、ある意味「よそ者」だった私の働きを評価していただいて、ホーク・ワン全社員の前で表彰してもらえたことは本当に嬉しかったです。

次のフェーズは「グループで目指す日本一」
―2024年4月から経営管理部に異動された中野さんですが、出向を経て本社に戻ったことで見えてきたことはありますか。
新卒のプロパー社員としてずっとオープンハウスに在籍し、1つの会社しか知らない状態では、どうしても価値観が狭くなってしまう場面があると思います。たとえばオープンハウスの社員は、グループにどんな会社があるのか、それらが何をしている会社なのかをもちろん知っています。反面、どんな人たちが働いていて、どんな考え方で、どういう仕事をしているのかは理解していないことがほとんどでしょう。
これまでオープンハウスは、その代名詞ともいえる強い営業力と強固な文化で成長を続けてきましたが、業界のトップに立つためには、ここからさらに視野を広げる必要があると感じます。オープンハウスが培ってきた考え方を各グループ会社に伝えることはもちろん、「もうプロパーなオープンハウスだけの事業体ではない」ということを本社にも広め、意識を高めていくべきタイミングではないかと考えています。
―グループ全体を見据えた業績管理によって、どのようなシナジーが見込めるとお考えでしょうか。
オープンハウスと各グループ会社の関係は、言ってみれば親子関係です。コミュニケーションの手段も明確ですし、日頃から双方向のやりとりがしやすいといえます。対して、新しくグループに入った会社の間ではコミュニケーションの窓口がなく、オープンハウスを介してのやりとりになってしまいます。そうなると、たとえばホーク・ワンとメルディアの間で協業する余地があったとしても、関係性がないので機会を損失してしまうのです。オープンハウスの経営管理部がその関係性構築を担い、適切に介在することで、新たにグループに入った会社同士のシナジーも生まれやすくなりますよね。そういうグループ内の結びつきが生産性の向上につながり、グループ全体の成長や、業界日本一への道筋が見えてくるのではないかと思います。
―バックオフィスで力をつけてきた中野さんの「強み」はなんですか。
営業時代とマインドがほとんど変わっていないことが私の根本的な強みになっていると感じています。実績を積み上げるために現場でどんな努力をしているのかを実地で知っているからこそ、目の前の数値の重みがわかりますし、どうすれば効率を上げられるかといった検討もしやすいと思います。オープンハウスグループは基本的に営業主体の会社ですから、営業で鍛えられた不屈のマインドを経営管理にも反映しています。
―今後の目標やビジョンがあれば教えてください。
現在の組織として、経営管理本部があり、その下に経営管理部と経理部があります。経営管理部の直下に経営管理グループと事業管理グループがあって、私は後者のグループ長を任されています。
今は経営管理本部の本部長が経営管理部の部長を兼務している状態なのですが、つまりは「経営管理部をまとめて管理できる人材がまだいない」という評価だと感じます。そこに危機感を覚えており、より精進して経営管理部を統括できるだけの力をつけたいと強く思っています。

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若いうちから経営の根幹に携われる充実感
―現在の業務の面白さややりがいを教えてください。
先ほどもお話ししたとおり、私がホーク・ワンに出向していたときは30歳そこそこ。世間一般で考えればまだまだ若手ですよね。そんな年齢で、先方の社長と膝を突き合わせて事業戦略を練るような仕事を任せてもらえることは珍しいのではないでしょうか。他社に勤めていたらなかなか会えないような人と仕事をしたり、経営の根幹に関わるような検討を進めたりできることは大きなやりがいです。日々、経営に関わっている実感がものすごくありますね。
―中野さんにとって、オープンハウスグループの「よいところ」はどんなところですか。
若手にもどんどん仕事を任せてもらえることはもちろん、会社自体が成長しているので、それに伴って自分の担当範囲も拡大していくというのが、急成長を続けるオープンハウスグループならではの強みだと思います。この会社にいると「ずっと同じ仕事をさせられて、成長を感じられない」なんていうことはまずありません。毎年異なる経験をさせてもらって、普通ではあり得ないくらいの成長を感じられること、そして部下にも同じような成長の機会を与えられることが自慢ですね。
―最後に、入社を希望する方に向けてメッセージをお願いします。
就職活動をしていると、どうしても妥協しなければいけないポイントが出てくると思います。若いうちはひたすらルーティンワークをこなさなければならないとか、毎年同じ仕事をやっていて成長を感じられないといった不安や焦りは、若手のうちは誰もが感じ得る悩みかもしれません。
しかし、オープンハウスグループは違います。新しい事業や取り組みが毎年立ち上がって、やりたいと手を挙げればやらせてもらえる、そんな刺激的な環境です。私も上司から常々言われていますが、「仕事を選ばず、なんでもやる」精神で自分の業務範囲外のことにも意識を向け、自分の上司だったら、事業部長だったら、社長だったらどうするかを考えながら模索することがよしとされる風土です。好奇心が旺盛な方、いろいろなことに手を出したい方、そして本気で社会人を楽しみたいと思う方は、ぜひオープンハウスグループで一緒に働きましょう。

ネームバリューだけではない仕事選びで、本気の社会人になろう
「自分は勉強が嫌いだし、特に専門知識もなかった」と笑いながら話す中野さんですが、その本質には多くの出会いをチャンスに変え、与えられた仕事以上の視野を持って成長しようとするバイタリティが感じられました。学生時代に何かに打ち込んだ経験がなくても、就職活動で語れる壮大なビジョンを持っていなくても。オープンハウスグループは、仕事を一生懸命頑張りたい、本気の社会人になりたい人を応援しています。