住む人の声にいち早く応える。カスタマーサービス部新設で、さらなる顧客満足度の向上へ
今期、オープンハウスでは、「顧客満足度の向上」をテーマに掲げています。オープンハウスの中でこのテーマにいち早く取り組み始めた建設事業部は、2023年10月にカスタマーサービス部を新設。その部長に着任したのは、2010年に中途入社した伊藤雅也さんです。問い合わせ窓口としての仕組みの構築から運用までを手掛ける伊藤さんに、カスタマーサービス部の役割や顧客満足度向上に取り組む背景、今後の課題などを聞きました。
(2024年2月に取材)
記事サマリー
- 顧客満足度の向上のため、カスタマーサービス部を新設
- 「情報の集約・対応品質の統一・スピード感」の3軸で、仕組みを構築する
- 事業規模が拡大しても、中身はベンチャー気質。前向きな人と仕事に取り組みたい
この記事に登場する人
伊藤雅也
建設事業部 カスタマーサービス部 部長。不動産業界内で3度の転職を経験し、2010年5月に中途入社。建設事業部で施工担当・マネージャー・グループ長を13年経験し、2023年10月に新設したカスタマーサービス部の部長に就任。
目次
新設のカスタマーサービス部で顧客満足度向上を目指す
―伊藤さんが所属されているカスタマーサービス部は、まだ新しい部署だと伺いました。
2023年10月に建設事業部内に新設した部署で、主にお客さまからの問い合わせ窓口として機能しています。オープンハウスは今期のテーマに「顧客満足度の向上」を掲げており、その最初の施策としてカスタマーサービス部が設立されることになりました。
―オープンハウスが「顧客満足度の向上」に取り組む理由は何でしょうか。
荒井社長には以前から「顧客満足度の向上に力を入れていきたい」「カスタマーサービス専門の部署をつくリたい」という思いがあり、私たちにも随時共有しながら、本格的な動き出しに向けて準備を進めていました。
そんな折、報道にてオープンハウスグループの至らない点をご指摘いただいたことや、グループ全体の売上が1兆円という大台に乗ったこともあり、いま一度、足元を見直す必要があると判断したのです。
「製販一体」を強みとしているオープンハウスにおいて、建設事業部は家をつくるという「製」を担う部署。建設事業部は、主に設計、施工、品質管理、アフターメンテナンスの4つから成り立っていますが、どの領域においても、家を建てるお客さま、家を購入して入居されているお客さまなどからの問い合わせをいただきます。お客様と直接接する機会が多い部署だからこそ、問い合わせ窓口を一本化させ、お客様への対応水準を統一することで顧客満足度に貢献したいと考え、他部署に先駆けて具体的な取り組みに乗り出しました。
―カスタマーサービス部が設置される以前は、お客さまからの問い合わせにどのように対応していたのでしょうか。
従来は、施工担当者とのやりとりのなかでお客さまから電話やメールをいただくケース、施工後にアフターサービス部に連絡いただくケース、営業担当に連絡いただくケースなど、問い合わせルートが統一されていませんでした。その結果、主に2つの課題が生じていました。
1つ目は、お客さまと各担当者の間のみで解決することにより、別の現場で同じ内容の問い合わせが発生したときに、担当者によって対応の品質にバラつきが出るという点です。
また2つ目は、過去に問い合わせがあって対応した事例が共有されず、同じトラブルがさまざまな現場で起こってしまうという課題です。前例を知っていれば防げたトラブルであるにも関わらず、建設事業部内で連携をとれずにいる、いわゆる「縦割り」の組織構造だったため、情報の蓄積と共有が十分にできていませんでした。
こうした課題を明らかにし、お客さまからの問い合わせへの対応と情報共有を密にすることがカスタマーサービス部の役割だと考えています。いただいた問い合わせに真摯に対応し、さらにそれを品質の高い家づくりに還元して、お客さまに喜んでいただくことを使命に取り組んでいます。
取り組みの軸は「情報集約・品質の統一・スピード感」
―伊藤さんがカスタマーサービス部のトップとして抜擢された背景にはどのような理由があったのでしょうか。
カスタマーサービス部の部長になる前は、建設事業部の施工担当として現場で1年、マネージャーを6年、エリアのグループ長を7年ほど務めていました。特に周りから予告されていたわけではありませんが、約14年間、建設事業部で培った経験値や、グループ長としてのキャリアを鑑みて「自分がやるべき仕事だ」と感じ、着任することを予感していました。
カスタマーサービス部には、私を含めて16人が在籍しています。4人が電話対応をメイン業務とし、私ともう1人のメンバーが、問い合わせ内容の集約や顧客対応方針などを標準化する取り組みを進めています。部署の設立当初は、1つ1つの問い合わせに対してどう対処するかを検討し、メンバー間で共有して対応していましたが、最近ではマニュアル化できたケースも多く、各自がそれに沿って行動することができるようになってきました。
また、カスタマーサービス部内にはアフターメンテナンスの専門チームである品質管理グループがいるので、そことも連携しながら、着工前からお引き渡し後のお客さま対応までを担当領域として対応しています。
―就任後、まずはどんなことから取り組んでいったのでしょうか。
最初は部署としての仕組みもできていない、まっさらの状態だったので、自分が何をするべきか、カスタマーサービス部が目指すところは何かを考えるのが最初の仕事でした。先ほどもお伝えしたこれまでの課題、顧客満足につながる視点などを考えた結果、カスタマーサービス部が取り組むべき軸として、「情報の集約」「顧客への対応品質の統一」「スピード感のある対応」の3つが挙がりました。
このなかでまず取り組んだのは「情報の集約」です。これまで各担当者宛にバラバラに来ていた問い合わせを、カスタマーサービス部にすべて集め、窓口を1本化することから始めました。ただし、窓口を開設してもすぐに完全移管はできませんから、他部署を含めた社員にカスタマーサービス部の目的と役割を周知し、お客さまへのご案内を徹底してもらうとともに、担当宛の問い合わせにはメール雛形を用いて返信してもらうなど、少しずつ、丁寧に対応していくことを心がけました。
情報集約の段取りを進めつつ、つぎに取り組むのは「対応品質の統一」と「スピード感」の実現です。集約した問い合わせ内容をすべてリスト化し、対応方法や問題解決にかかる工程・日数などを記録・管理しています。お客さまからいただく問い合わせは、施工内容の不明点から近隣トラブルに発展するようなものまでさまざまですが、その件数は月に約800件。その1つ1つを記録して体系化することで、同じような問い合わせが来たときに、誰が担当しても同じ品質で対応できるうえ、マニュアルに沿って迅速に解決に向かうことができるのです。まずは部長である私が、こうした取り組みの旗振り役として尽力することが、特に立ち上げ期の役目だと考えています。
顧客満足度の向上のため、次なる課題は社員教育
―カスタマーサービス部を運用されて約2カ月の現在、改善の状況はいかがですか?
そうですね。最初の段階として、お客さまが問い合わせ先を迷わずに連絡いただけるような体制が整ってきたと思います。また、建設事業部のほか、営業部や開発事業部などの他部署に散らばっていた問い合わせも、社員の協力によってすべて集約できるようになったことも画期的な変化ですね。
さらに、問い合わせに対してどう動くかという情報を蓄積し、管理を徹底したことで、これまで起きていた人的なミス――たとえば、単純な連絡漏れや伝え間違いなど――がかなり減った実感があります。今後も継続的に運用していけば、確実にお客さまの満足につながると考えています。
―どんな会社でも多かれ少なかれ、新しいことを始めるにあたって抵抗感が生まれることがあります。今回、社員さんたちの反応はいかがでしたか。
社員からすれば、この取り組みによってやるべき作業が1工程増えるんですよね。本来ならお客さまからの問い合わせに返答すればよいものを、カスタマーサービス部を通して連絡をすることになる。正直、「面倒臭いな」という感覚もあると思いますが、特に不満の声を聞いたことはありません。実際に言葉をかけてもらったわけではありませんが、ほかの社員もカスタマーサービス部の後押しをしてくれますし、こちらから協力を呼びかけてもスムーズに反応してくれていて、ありがたいです。
これも、荒井社長の目指すものが浸透し、カスタマーサービス部の存在意義を共有できていること、お客さまの満足が会社の成長に直結すると肌で理解していることなど、オープンハウスの風土に支えられているところが大きいのではないでしょうか。
―現在、カスタマーサービス部として課題だと感じていることはありますか。
はい。先に挙げた3つの軸で言えば、「顧客への対応品質の統一」に課題を感じています。本当の意味で対応の品質を上げるためには、カスタマーサービス部だけが品質の高い対応をすればよいのではなく、全部署、全社員においてお客さまへの対応の仕方を見直す必要があります。それは問い合わせへの対応だけに留まらず、社員の姿勢や働き方の改善、すなわち「社員の教育」に力を入れることを意味します。
当然、社内にはいろいろな人がいて、個々の対応能力には違いがあります。だからこそ、会社として間違った立ち会い方をしていないか、お客さまへの伝え方、説明の順番が適切かといった細部まで指導することになります。お客さまへの対応はやはり難しく、考え、実践していくことで身につけるしかないので、私自身も個別に同行したり、現場に立ち会ったりして、教えられるところは教えてあげたいと思っています。
同時に、それぞれの問い合わせに対応していくだけでなく、今後は問い合わせの発生源自体をなくすための取り組みを行う予定です。起きた問題に対処するだけでは、問題自体はなくなりませんからね。実際に、業者への指示やマニュアル変更によって防げることがいくつもあります。問い合わせの数が減っていけばそれだけ時間を有効に使うことができ、一人ひとりのお客さまにかけられる時間と余裕が増え、さらに満足度が上がるという好循環が生まれるはずです。
―では現在、伊藤さんご自身が掲げている目標を教えてください。
新設したばかりで言うのもおかしいかもしれませんが、カスタマーサービス部は、担当者レベルでの顧客対応力が上がり、お客さまからの苦情を含めた問い合わせがなくなれば、本来は必要ない役割だと思っているんですよね。もちろんそれは極論ですが、私個人の目標は、カスタマーサービス部がいらないくらいのレベルに達することなんです。
一方で、この部署ができたことによって「何かあってもカスタマーサービス部が対応してくれるんでしょ」という意識が生まれ、人任せになる傾向も一部で見られます。今、会社からも社員に対し「一流の社員になってほしい」というメッセージを発信していますが、各々が自立して、対応力や知識をどんどん蓄えてもらい、問い合わせが生まれないくらい一流の対応ができるようになるのが理想です。
一流企業として整った基盤と、ベンチャーらしい“発展途上”の伸びしろ
―伊藤さんは3回の転職を経て、4社目でオープンハウスに中途入社されたと伺いました。これまでどのような職歴を歩んできたのでしょうか。
これまでも不動産業界一筋でやってきました。1社目の不動産会社は設計希望で入りましたが「設計を担当するなら、まずは営業経験から」という会社の方針で、不動産営業をやっていました。2社目では、デベロッパーに就職。社員の出入りが多い会社でいつも人手不足でしたが、そのぶん幅広い業務をやらせていただき、知識も経験も付けられて、実は私にとっては楽しい労働環境でした。
しかし、2008年に起きたリーマンショックによる不況でほとんどの人が解雇され、私もその1人として転職を余儀なくされました。やむなく飲食店などの店舗物件を専門に扱う不動産会社に就職しましたが、やはり実際にそこに住む人を相手にする仕事が恋しくなり、あらためて転職先を探しているときに見つけたのがオープンハウスです。「成長中のベンチャー企業」という情報を見て、「ここに入りたい」とピンと来るものがありました。勢いがあって、成長していて、未完成な部分もある――そういう環境に身を置きたかったんです。
―そして2010年にオープンハウスに入社されたんですね。入社後の印象はいかがでしたか。
なんというか、思ったとおりの会社でした(笑)。当時は今のようなシステムも構築されておらず、人手は足りないけれど仕事は山ほど降ってくる。私としては、2人目の子どもがもうすぐ生まれる時だったこともあり「とにかく働きたい」「早く出世したい」「お金を稼ぎたい」という気持ちからガムシャラに働きました。確かに多忙を極めましたが、刺激的でとても充実していました。仕組みが変わった今でも、仕事の充実度は変わりませんね。
―伊藤さんが在籍する14年の間だけを見ても、事業規模は拡大し続けています。それに伴う変化も大きかったのでは?
会社の成長に伴い、社員数がかなり増えましたね。さらに、社内のシステムも徐々に整備されてきています。
私が入社した当時はシステムがそこまで整備されておらず、個人がExcelで数字を管理していましたが、2015年頃からシステムを内製化し、システムやアプリケーションによってDX化したことは大きな変化だと感じています。条件を入力するだけでシステムが管理してくれるため、工程や発注などさまざまな分野でかなりスムーズに仕事が進められるようになりました。
―オープンハウスの変化を目の当たりにしてきた伊藤さんが考える、オープンハウスの「よいところ」を教えてください。
前向きに仕事に取り組んでいきたい人にスポットが当たるのが、オープンハウスのよいところですね。
社長や役員の方も話されていますが、オープンハウスの外見はもう一流の企業に見えますが、中身はまだベンチャー企業の要素が残っています。もちろん、以前よりはルールも仕組みも整ってきましたが、まだまだ発展途上で、もっと良くしていける部分はたくさんあります。だからこそ、手を挙げれば抜擢され、やる気があれば自分でルールを変えることもできるはずです。
―では、カスタマーサービス部にはどのような人材がマッチすると思いますか。
変な言い方かもしれないですが、空気を読める人に適正があると思っていて。カスタマーサービス部の業務は、お客さまと密接な人間関係を築く必要があります。コミュニケーションをとるうえで、お客さまのちょっとした気持ちの変化を見逃さない、いわゆる察し能力や勘のよさが肝になります。
人から教えてもらうのはなかなか難しいスキルですが、私自身は、学生時代の部活の先輩が気を使える人で、その人への憧れから立ち居振る舞いを観察して身に付けてきた経験があります。そんなふうに学生時代にどう過ごしてきたか、普段から何を見て過ごしているかによって、年齢や役職関係なく空気を読むのが得意な人もいるのではないでしょうか。そんな人には向いている仕事だと思います。
―最後に、入社を希望する方に向けてメッセージをお願いします。
これからも成長していく会社なので、新入社員だからと遠慮せずに、どんどん手を挙げて、自分から仕事をとるスタイルで取り組んでいってほしいですね。これまで急激に成長してきたオープンハウスが、この先も成長し続けるためには、今在籍している社員と、これから入社される社員全員の働きぶりにかかっていると思います。前向きに仕事を取り組む姿勢を持つ人はぜひ、オープンハウスで活躍していただきたいなと思います。
変化を恐れず、まだまだ成長できる。そんな気概を持ったメンバーと頑張りたい
オープンハウスに在籍しながら、さまざまな会社の変化を経験してきた伊藤さん。「昔の自分のままではなく、変化をしよう」という心構えを持つことで、前向きに仕事に取り組む姿勢ができるんだとか。オープンハウスでは、よりよい会社をつくるため、部署の新設や、新しい施策の実施、人材の募集など、さまざまな変化にチャレンジしていきます。私たちと一緒にさらなる成長を目指して、道を切り拓く熱意のある方をお待ちしております。