家を売って終わりではない。不動産業界の常識を変えるおうちリンクのミッションと今後の展望とは
オープンハウスの物件を購入したお客さまに対して、より快適な生活を送ってもらうためのサービスを提供する株式会社おうちリンク。不動産業界で異例ともいえるこの事業の立ち上げに携わったのが、村上拓海さんです。現在は次長としておうちリンク全体の統括に携わる村上さんに、事業部のミッションや、新規事業の立ち上げ時のエピソードについて聞きしました。
(2023年12月に取材)
記事サマリー
- 家を購入したお客さまに、インフラや金融などのサービスを提供するおうちリンク
- 一つ一つは小さな利益でも、契約を絶やさず売上100億円を目指す
- これから増えてくるリフォームの対応など、新たな課題にもチャレンジしたい
この記事に登場する人
次長
村上拓海
2002年、中途入社。営業職を経験後、オープンハウスを退職。2012年に再び中途入社し、営業本部で複数店舗のセンター長を務めた後、新規事業の立ち上げに参画。2021年より株式会社おうちリンクに所属。サービス運用や人材採用など全体の統括に携わる。
目次
物件を購入したお客さまの「その後の暮らし」を支えるサービス
―まずは、株式会社おうちリンクの事業内容と村上さんの役割について教えてください。
株式会社おうちリンクは、オープンハウスで物件を購入いただいたお客さまに対して、その後の生活関連サービスを提供するオープンハウスのグループ会社です。2021年に設立され、現在は2つの事業を軸に展開しています。1つは、電気やガス、ネット環境など生活インフラや、住宅の経年劣化に伴う軽微修繕・リフォームを提案する「おうちリンク」。もう1つは、住信SBI ネット銀行と連携し提供する、アプリ完結型の新しい銀行・金融サービスである「おうちバンク」です。これらの中で、現在は、おうちリンク事業と同事業部内の保険グループを統括しています。
―インフラから金融まで、生活に必要なサービスをワンストップで提供しているんですね。おうちリンクが掲げているミッションについてもお聞かせください。
第一のミッションは、売上100億につながる事業を作ることです。まだ麓にもたどり着いていませんが、コツコツと契約を増やし、売上100億を目指したいと思っています。第二のミッションは、オープンハウスグループのセカンドオピニオン的な立ち位置で、本体の営業本部などから招き入れた人材をおうちリンクの中で育てること。オープンハウスの事業とは性質が異なるため、他の部署では花開かなかった人材も、おうちリンクでなら活躍できる可能性があります。
―なるほど。不動産業界で生活関連サービスまで提供する企業は珍しいと思いますが、おうちリンクの存在は、オープンハウスのお客さまにどんなメリットをもたらすのでしょうか?
物件を購入していただいた後も企業とお客さまがつながり続け、何かトラブルが起こったときの拠り所として機能することです。住み始めの生活関連の煩雑な手続きをお任せしてもらい、安心して物件を購入いただけるという点は、営業の大きなアピールポイントにもなります。
引越しの準備は、家族内の誰か一人に負担がかかりがちですが、オープンハウスではご入居説明会の際に、ブースを5、6個回るだけでほとんどの手続きが終わります。面倒な思いをせずすぐにマイホームで生活を始められる点もお客さまにとっての大きなメリットの一つですね。また、開通時のお手伝いだけではなく、その後サービスを利用していく分だけポイントが貯まり、キャッシュバックなどをご利用いただけます。
―おうちリンクは、サービス提供開始から2年2カ月で会員数が1万人を突破したそうですね。なぜ、順調に会員数を伸ばし続けられたのでしょうか。
おうちリンクでは、首都圏のほか、関西や名古屋、福岡といったエリアでもサービスを展開していて、毎月450〜500組ほどのお客さまと直接お会いしています。これは、物件を仲介した営業担当者からおうちリンクへの引き継ぎがスムーズだからできることで、グループ会社ならではの強みでもあります。だから、最初からお客さまと信頼関係を築けている状態でサービスをご提案できるんです。
新規事業立ち上げ当初の苦労が、チームの結束を強めた
―村上さんは、もともと営業本部でセンター長を務めていらっしゃったとか。おうちリンクの立ち上げに関わるまでの経緯を教えてください。
オープンハウスでは出戻りする社員も珍しくないですが、実は私もその一人。最初に入社したのは2002年で、オープンハウスが設立されてまだ5年ほどしか経っていない頃でした。そこから6年半、営業として働き、他の業界も見てみたいと思って転職しました。別の会社で働いている間も、社長や専務とはやり取りを続けていて、2012年3月にオープンハウスに戻ってきました。その後配属された営業本部では、複数のセンターでそれぞれセンター長を経験し、2021年に専務から「新規事業を立ち上げるからやってみないか」とお声掛けいただいたんです。
―おうちリンクの事業構想を最初に聞いたとき、どんな印象を受けましたか?
それまで携わっていた不動産事業は、数千万や数億の不動産を売るものもあり、大きなお金を動かす仕事でした。対して、おうちリンクの事業は、電気やガス、ネット環境など、小さい利益を積み重ねるため、毛色が全く異なる仕事です。私自身は、細かい仕事をコツコツ積み上げていくことが苦にならないタイプですし、新しいセンターの立ち上げなどゼロから形を作っていく仕事を何度も経験していたので、そういった部分の実績から声を掛けていただいたのだと思っています。
―立ち上げ時は、苦労もたくさんされたと思います。どういった点が一番難しかったですか。
新規事業なので初期投資がかけられず、人手が少なかったことが本当に大変でした。経営企画室のほうでサービスの要件定義やシステム設計を行ってくれましたが、構想通りに現場が回るとは限りません。せっかく契約は順調に増えていくのに、現状のシステムでは量をさばききれず、仕事がどんどん積み上がっていってしまったんです。そういった現場の状況を、上に納得してもらうように伝えるのがすごく難しかったですね。
―立ち上げと聞いて、契約が取れないことが大変だったと予想したのですが、むしろ順調すぎて苦労されたということですね。
おうちリンクのようなサービスはタイミングが命で、スピーディーに動かなければお客さまがご自身で電気やガス、ネットの契約をしてしまい、弊社の出番がなくなってしまいます。ただ、苦労した時期があったからこそチームの結束が強まり、どのような状況でも手を抜かないというオープンハウスマインドの醸成にもつながったと思っています。
売上100億を目指すために必要なのは「絶やさないこと」
―先ほど、売上100億を目指すとおっしゃっていましたが、そのミッションを達成するために心がけていることがあれば教えてください。
タイミングを逃さず契約を取り続けることですね。サブスクリプションと同じで、お客さまがサービスを使い続けてくださる限り、毎月利用料が入ってきます。1件あたりの利益は小さくても、お客さまが増えれば増えるほど、継続的に収入が積み上がっていくわけです。なので、売上100億を目指すには、「絶やさないこと」が何より大事だと思っています。
―現在は、生活関連サービスの「おうちリンク」と、銀行・金融サービスの「おうちバンク」が二大柱になっていますが、今後のサービス展開についてはどのように考えていらっしゃいますか。
今後のサービス展開が非常に難しく、まさに頭を悩ませているところです。新しい住まいで生活を始めたお客さまと次に大きな関わりを持つのは、リフォームのタイミングになってくると思います。現状、オープンハウスにはリフォーム専門の部門がありません。自分たちが販売した家に対して、「壊れていませんか?」と営業するのも不自然で、そのあたりの仕組みが確立できていないのが課題だと思っています。
―家には寿命があり、修繕やリフォームがつきものなので、相談したいお客さまも多いはずですよね。
その通りだと思います。おうちリンクができてから物件を購入したお客さまは、購入後もオープンハウスに相談できるサービスがあると認識されています。これから5年、10年後、リフォームの相談が確実に上がってくると思うので、スピーディーに対応できる仕組みを整えておきたいです。
一方で、2021年以前に物件を購入されたお客さまは、おうちリンクのサービスを知りません。そういったお客さまにもサービスがあることを知っていただき、再びつながることも、今後の課題です。オープンハウスグループでは顧客満足度の向上に力を入れ始めていて、各事業部で対応する部署も設立されています。おうちリンクは「売って終わり」の不動産業界に新たな風を吹かせる取り組みを進めていきたいですね。
頑張る人を笑わないカルチャーが組織を成長させる
―村上さんはオープンハウスに2回入社されていますが、外の環境にも触れたからこそ感じるオープンハウスの「いいところ」はありますか?
がむしゃらに走ることを躊躇(ちゅうちょ)しないところ、頑張る人を笑わないカルチャーがオープンハウスのいいところです。そういったカルチャーが浸透しているからこそ、立場が上がっても走り続ける人が多いし、必然的に尊敬できる上司も多くなります。「やっぱりすごい、この人には敵わない」と思う上司と共に働き続けられるのは、幸せなことだと思いますね。
―そんなオープンハウスグループにマッチする人材は、どんな人だと思いますか。
向上心と野心があって、とにかく成長したい人でしょうか。私はたまたま不動産業界に興味を持って入社したのがオープンハウスで、営業を長く続けていたら、新規事業を任せてもらえることになりました。がむしゃらに働いてきましたし、行動すれば得られるものがあると実感を持って言えます。
ただ、全員が営業としてバリバリ活躍できるわけではない。そういう働き方よりも、コツコツ積み上げるほうが得意な人は、おうちリンクが向いているかもしれません。不動産営業とは異なるベクトルで花開ける、オープンハウスグループではそのような人材も大事にしたいと思っています。
小さな利益をコツコツ積み上げる新しいビジネスモデル
オープンハウスとマイホームを購入したお客さまをつなぎ続ける、おうちリンク。大きな利益を稼ぐのではなく、コツコツと積み上げるビジネスモデルは、これまでのオープンハウスにはなかったものであり、従来とは異なる人材が求められています。オープンハウスには、自分の長所を活かし花開ける仕事、活躍できるフィールドがあります。