真剣に競い、高め合う。 ワースト店舗をトップに導いた若きマネージャーのチーム論とは
売上1兆円を目指す成長企業であるオープンハウスの営業本部では、お客さまと接する営業だけに専念できる組織体制の中、全国約70店舗がより高い成果を上げようとしのぎを削っています。入社当初は知らない人と話すことが苦手だったという伊藤俊太さんに、第一線で活躍する営業となるまでの道のりと、マネージャーとして大事にしている考え方をお聞きしました。
(2023年7月に取材)
記事サマリー
- 競い高め合うカルチャーと、営業だけに集中し成長できる環境がある
- ワースト店舗をトップに引き上げた経験がターニングポイントに
- 営業でもマネジメントでも「想像力」が仕事の鍵になる
この記事に登場する人
次長
伊藤 俊太
法政大学を卒業後、2015年4月オープンハウスに入社。入社から現在まで営業本部に所属し、戸建て営業を担当する。顧客満足度ランキング全国上位常連であり、現在は綱島営業センターにてセンター長を務める。
目次
真剣に競い、高め合う。営業に一点集中できる環境で戦える
―はじめに、営業本部のオープンハウス内の立ち位置について教えてください。
当社は不動産仲介事業から始まった企業であり、営業本部はそのDNAを特に受け継いでいる部署です。具体的には、全国の営業センターでお客さまと直接向き合い、一戸建ての仲介を行っています。営業本部の売上が良いと社内の雰囲気も良くなり勢いづきますが、反対に営業本部の売上が悪いと、社内の空気もどこか暗くなる。そんな風に社内の雰囲気に影響を与えるくらい、大事な役割を任されていると自負し、日々仕事に臨んでいます。
―営業本部で、伊藤さんはどのような仕事をされているのでしょうか?
私は入社以来ずっと営業本部に所属していて、現在は綱島営業センターのセンター長を任されています。お客さまの前に立って接客したり、営業をしたりすることはもちろん、部下の育成やモチベーション管理も仕事の一つですね。
綱島営業センターは、私を含めた11人のメンバーが、3チームに分かれて日々営業に励んでいます。「それぞれのチームが毎週1棟売る」という高い目標を掲げ、それを当たり前にこなしていくことが最大のミッションです。
そして最終的な目標は、この綱島営業センターが全国に約70ある店舗の中でトップを取ること。ただ毎週の目標を達成しただけでは全国トップは取れないので、目標の棟数以上を販売できたとしても「余った分は次週分のカウントに回そう」といった考えは絶対にしません。これはきっとどこの営業センターも同じで、真剣に競い合って高みを目指すカルチャーは当社の美点だと思いますね。
―競い合って高みを目指すカルチャーというと、社員同士はライバルのような関係なのでしょうか?
プレイヤー同士はライバル関係でもありますが、決してドライなわけではなく「一緒に切磋琢磨していこう」といったポジティブな雰囲気があります。というのも、一般的な企業では、営業個人の数字で評価されることが多いと思いますが、当社の営業はチームで戦っているという意識がものすごく強い。それに、営業関連の組織体制も他社とは異なるかもしれませんね。
―具体的にどのような体制を取っているのですか?
当社は分業制で、お客さまとの契約業務や市場調査にまつわるマーケティングには、それぞれ専門の部署が置かれています。そのおかげで、営業センターにいる私たちは「お客さまに物件を紹介し、ご購入いただく」こと一点に全力を注げるんですよ。
私のようなセンター長やマネージャー職は「営業」と「チームづくり」に専念し、プレイヤーは自分の営業スキルを研ぎ澄ますことだけに集中できる。「営業としてとにかく成長したい」と思っている方にとっては、すごくいい環境が整っているのではないでしょうか。
入社直後は苦手だった営業活動。克服できたのは「考え方」を変えたから
―オープンハウスの営業の中でも、伊藤さんはとりわけお客さまからの信頼が厚いそうですが、入社当初から営業に自信があったのでしょうか?
そんなことはなく、むしろ苦手でした。私は学生時代、ずっとスポーツだけをやってきたんです。高校まではサッカー、大学からはアメリカンフットボールで日本一を目指し、練習に明け暮れる日々でした。なので普段話す相手といえば、監督やコーチ、チームメンバーなど身内ばかり。営業はコミュニケーション能力が求められる仕事なのに、知らない人と話すことが大の苦手だったんです。
―では、営業として街中でお客さまに声を掛けることには、かなり苦労されたのでは……?
かなり抵抗がありましたね。オープンハウスでは新人が街中でお客さまにお声掛けをして、住宅探しのきっかけを作る営業活動を行うのですが、「こんにちは」という一言すら、最初のうちはなかなか出てきませんでした。しかし営業という仕事は、声掛けができなければそこから何も生まれません。来る日も来る日も街中での営業を続け、半年から1年の時間をかけて、コミュニケーションへの苦手意識を克服していきました。
―苦手を克服できたのはなぜでしょうか?
ある時から、「断られるのは当たり前」だと考え方が変わってきたからだと思います。営業って、100人に声を掛けても、話を聞いてくれる人は1人いるかいないか。そもそも断られる数が多いからこそ、そこに慣れていないと「自分たちは何か悪いことをしているんじゃないか」とネガティブな考えが生まれてしまうんです。
もちろん「必要ないです」と言う人にしつこく営業するのは良くないことですが、街中には、今まさに不動産を探している人や、探そうと思っているけど行動に移せずにいた人もいます。そういう人たちにとって私たちの声掛けというのは、実現に向かって動き出す後押しになる。実際に、街中での声掛けからご契約いただく数は、オープンハウスの総契約数のうち3割ほどをも占めているんですよ。そんな風にポジティブな考え方ができるようになったら、おのずと成果もついてくるようになりました。
―苦労した時期を経て、現在はセンター長として活躍されていますが、お客さまと接する上で大事にしているポリシーを教えてください。
ずばり「お客さまに熱量で負けない」ことですね。どんなに必死に探しても、お客さまの理想に100%マッチする物件はほぼ存在しないんです。お客さまに譲っていただかなくてはいけない条件が出てきますし、営業として言いにくいことを言うべき場面もあります。
そのときにこちらの言葉を信じて、ご納得いただくためにも、まずはお客さまに人として信頼してもらうことが大切です。「自分のためにこんなにも真剣に考えてくれている」「この人の言うことならば、初めの条件とは異なるけれど前向きに検討してみよう」と、安心して任せてもらえる存在になるためには、やはりお客さまが家を探す熱量以上に、私たちが熱量を持ってご提案をするべきだと思っています。
束ねる営業センターを全国トップに導くチームづくり
―伊藤さんは、戸建ての営業を長く担当されてきましたが、入社からの8年間で会社から評価されたと実感した瞬間はありましたか?
3年ほど前、溝の口営業センターの課長に任命されたときの出来事は、私のターニングポイントでしたね。当時の溝の口営業センターは、全国でもワーストに近い成績でした。そんな中、社内で「神奈川の営業センターを盛り上げよう」という話が持ち上がり、三隅というセンター長と私の2人で溝の口を任されたんです。
売れていないということは、逆に言えば売り物がたくさん残っているということ。「きちんと営業すれば軌道に乗るだろう」という確信はありましたが、メンバーには諦めムードが漂っていました。そこで、着任直後の三隅と私がとにかく販売数を上げて、「売れる勢い」をつくったんです。そのうちメンバーたちの士気が上がり、まもなくして溝の口営業センターは全国トップに輝きました。
―まずは自分が成果を上げて、周囲を巻き込んでいったのですね。
マラソンに例えると、スタートから先頭集団にいれば1位を目指しやすいけど、3番手の集団の中を走っていてもトップにはなかなか追いつけないですよね。それと同じように考えて、三隅と私は、最高のスタートダッシュを切ることを強く意識しました。だから、まずは先頭集団に飛び込むことを1つ目の目標にしたんです。それまでワーストに近かった溝の口営業センターでもトップを狙えるのだと分かると、メンバーの顔付きも一気に変わり始めたのを覚えています。
―そして現在は綱島営業センターを束ねる立場ですが、改めて、トップを目指す上で意識していることはありますか?
溝の口営業センターでは、上に立つ人間が誰よりも売るという姿勢で順位を挽回しましたが、現在はセンター長として「全員で数字を作ろう」という雰囲気づくりに注力しています。メンバー一人ひとりに、自分や店舗の数字を意識してもらうこと。その意識を全員が持っていないと、全国トップを取れるような飛び抜けた売上は望めません。チームが一体感を持って同じ方向を向けるように、普段からコミュニケーションをよく取るようにしていますね。仕事中も、雑談を含めてメンバーとよく話しますよ。
また、社内のポータルサイトでは、営業センターや個人の売上が閲覧できるのですが、それを見ながら自分たちの現在地を常に確認しています。トップ争いをしていると、5分ごとにアクセスしてしまうことも(笑)。私はスポーツを長くやってきたので、こうしたジリジリとした勝負感を味わえる点も、性に合っていると感じますね。
営業もマネジメントも、大切なのは「想像力」を働かせること
―営業本部、とりわけ戸建て営業において、特に求められるスキルとは何でしょうか?
「想像力を働かせること」ではないでしょうか。実は不動産を探しているお客さまの中には、要望や意見をあまり口に出さない方が多いんです。なのでお客さまの言動をよく観察し、本当に望んでいることを想像することがとても大切。その想像が的確であれば、お客さまからの信頼を一気に得られますし、提案に対しても前向きに考えていただけることが増えます。
それに想像力は、将来的に上司として部下に接するときにも必要なんですよ。悩みや困りごとを簡単には口に出さない部下は少なくありませんが、そんな相手には「もしかして今、こういう壁に悩んでいる?」とこちらから声を掛けるようにしています。私自身もともとコミュニケーションが苦手で苦労を重ねてきたので、自分の経験を振り返りながらアドバイスできることがあると思っているんです。チームの団結力を高めるためにも、部下の悩みには同じ目線で寄り添うようにしています。
―最後に、伊藤さんの今後目指したいこと、挑戦したいことを教えてください。
当社では若くしてマネージャーに抜擢されることが多く、努力を評価されて実力以上のポジションを与えられることは珍しくありません。ただどんなチームを任されたとしても、毎回いい人材を育て、いい成績を上げていくことは徹底していくつもりです。私が孵(かえ)したメンバーが全国各地の営業センターへ旅立っていったとき、それまでに学んだことを生かして新しい場所で活躍してくれたら、それはきっと会社全体の成長にもつながるはず。オープンハウスには確かな戦略もいい文化もたくさんあるので、そういった部分を私の手で広げていきたいと思っています。
競い合う中で成長してきた営業スキルと想像力で、お客さまと会社に貢献していく
「自分が苦労してきたからこそ、部下がどんな壁にぶつかっているかわかる」という伊藤さんの言葉には、何かを乗り越えてきた人ならではの優しさと自信がみなぎっていました。チームで競い高め合いながら営業として成長したい方は、オープンハウスの「切磋琢磨するカルチャー」にマッチするはず。自分の力で勝負してみたいという情熱を持つ人を待っています。